広報・PR

採用広報に取り組むメリットとは?コンサルティングの効果も解説

自社にマッチした人材を獲得するために、「採用広報」に取り組む企業が増えています。「求めている人材からの応募が少ない」「採用のミスマッチが起きている」など、思うように採用活動が進まない場合、採用広報の導入をおすすめします。

本記事では、採用広報が注目を集めている理由や取り組むメリットを詳しく解説します。効果的な手法や成功事例も紹介しますので、ぜひ採用活動の参考にしてください。

採用広報とは「採用を目的とした企業の広報活動」のこと

採用広報とは、自社とマッチした人材を獲得するために行う企業の広報活動です。

広報活動とは、自社と利害関係にある相手と、良好な関係を築くための活動を指します。企業が採用したい人材は、自社に利益をもたらしてくれる貴重な関係者ですから、顧客や取引先と同じように利害関係者になるわけです。

自社とマッチした人材を獲得するためには、まず企業理念やビジョンといった特徴を発信しなければいけません。これらに共感してくれる求職者には、長期にわたる活躍を期待できます。その結果、採用のミスマッチ防止や採用コストの削減、企業の利益拡大といった成果を期待できるのです。

なお、採用広報と似た意味の言葉に「求人広告」があります。両者は手法や目的が異なりますので、以下の表で確認しておきましょう。

手法目的
求人広告発注者が求人媒体に掲載料を支払って、求人広告を掲載してもらう就職活動や転職活動を行っている人に対して、直接働きかけて人材獲得につなげる
採用広報採用ページの運用やブログ記事の作成、SNSの活用などを通して、自ら情報を発信していく自社の特徴や魅力を発信することで、採用したいターゲットからの応募を集める

関連記事:意外と知らない広報と広告の違い!PRや宣伝も合わせて解説!
関連記事:採用広報とは?目的や利用媒体、始める流れなどを解説!

採用広報に取り組む企業が増加する理由

現在の日本では、ハローワーク(公共職業安定所)や紙媒体の求人広告を利用する方法だけではなく、採用広報に取り組む企業も増えています。その理由を分析してみましょう。

採用競争の激化

少子高齢化の動きが継続している現在、日本の総人口における65歳以上の高齢者の割合は増加傾向にあり、2040年には総人口の35%にのぼると見込まれています。一方で、15歳から64歳までの「生産年齢人口」の割合は減少しており、2020年に総人口の60%(7,509万人)であった数値は、2040年には55%(6,213万人)まで減少すると推計されています。

労働力である生産年齢人口の減少に伴って、労働市場は「売り手市場」となり、人材獲得競争が激しさを増しています。その結果、採用活動を積極的に展開して、有望な人材をいち早く獲得しようとする企業が増えているのです。

採用広報

引用:厚生労働省|我が国の人口について

デジタル化の推進

スマートフォンの普及に伴い、就職・転職活動にデジタルツールを利用する求職者も増えています。SNS(X、Facebook、Instagramなど)を活用して、気になる企業の発信をチェックしたり採用サイトを閲覧したりして、自分の就職・転職活動の参考にしているのです。

これらのデジタルツールを企業の採用活動に活用すれば、求職者の応募を待たずに相手と接点を持てるようになります。自社の認知拡大、企業イメージの定着といった採用活動に有利な施策を展開できるでしょう。

働き方の多様化

テレワークの普及や時短勤務・フレックスタイム制を導入する企業の増加によって、働く場所や時間も多様化しています。さらに「本業以外の場所で自分のスキルを発揮したい」「複数の仕事に取り組みたい」と副業に取り組む社会人も増えてきました

企業理念、ビジョン、社風といった企業の特徴を、採用広報によってわかりやすく発信できれば、仕事にやりがいや充実感を求める求職者からの共感も得られるでしょう。

採用広報に取り組むメリット5選

採用広報は企業と求職者の両方にメリットをもたらす施策です。より具体的な内容を5つ紹介します。

自社の認知度を高められる

1つ目のメリットは、認知度の拡大です。

企業側が能動的に情報を発信することで、転職潜在層にもアプローチして自社認知度を高められます。認知度を向上させることで、エントリー数の増加が期待できます。

その結果、一定数の母集団を形成してから選考を慎重に進めて、自社にマッチした人材を掘り当てるといった施策が可能になるでしょう。

求職者とのミスマッチを回避できる

自社の特徴や魅力を発信することで、求職者とのミスマッチを回避できる点が2つ目のメリットです。

採用広報では、企業側が発信するコンテンツや発信先の媒体を自分たちで決められます。自社の特徴や魅力をアピールしやすい方法を選べば、企業理念、ビジョン、仕事のやりがい、社風、仕事に対する情熱などの有益な情報をわかりやすくターゲットに届けられるでしょう。

採用コストを削減できる

3つ目のメリットが採用コストの削減です。

採用広報に利用できる主なツールとして、FacebookやInstagram、XなどのSNS。WantedlyやYoutrustといったキャリアSNSが挙げられます。

SNSの運用は基本的に無料ですし、WantedlyとYoutrustは成果報酬制の料金方式を採用していないため、月額料金のみで採用活動に取り組めるでしょう。また、オウンドメディアや採用ページの運用も、採用活動にかかるコストをコントロールしやすい施策といえます。

VMVを再考するよい機会になる

採用広報を通じて、VMV(ビジョン・ミッション・バリュ―)を再考する機会を持てる点が4つ目のメリットです。

採用広報によって、自社の特徴や魅力を求職者に伝える方法を検討する中で、自社のVision(将来像)Mission(役割)Value(価値観)をスタッフ間で再確認する機会を持てます

VMVを再考することは、企業の方向性や原点の再確認につながるため、企業課題を明確にしたり自社の団結力を高めたりするのに役立つでしょう。

資産性がある

5つ目のメリットとして、自社の資産形成が挙げられます。採用活動で使用するオウンドメディアには、自社に利益をもたらし続けてくれるという資産性があるのです。

例えば、現場の社員にインタビューして、入社の経緯や現在の仕事内容などを記事や動画にしたとしましょう。実際に働いている社員のインタビューには説得力があるため、求職者にとって参考になるコンテンツですよね。

そして、一度作成したコンテンツは削除しない限り、オンライン上に存在し続けます。求人広告のように掲載料を支払うことなく、自社の情報を継続して発信できるわけです。つまり、本年度の採用活動だけでなく来年度以降もそのコンテンツを運用できるということになります。

採用広報の注意点

採用広報には、運用する上で必ず注意しておきたいポイントが2つ存在します。採用広報に取り組んでから後悔しないように、注意点を確認しておきましょう。

短期間で高い成果を望みにくい

採用広報に取り組んでから、自社の特徴や魅力が求職者や潜在層のもとへ届くまでには一定の時間がかかります

例えば、先程の社員インタビューをオウンドメディアから発信する場合、社員へのインタビューの実施や文字おこしといった作業に人手や時間がとられるのです。そのため短期間で成果を出したい場合は、求人広告や人材紹介会社を併用するのがよいでしょう。

求人広告と人材紹介会社では、メリットや注意点が異なるため、以下の表でご確認ください。

メリット注意点
求人広告

・Webサイト、雑誌、新聞、テレビなどのメディアに掲載できる
・母集団の形成に向いている

・出稿内容に応じて掲載料が変化する
・出稿期間が長くなれば、その分掲載費用も膨らむ

人材紹介会社

・人的コストの削減が可能
・自社にマッチした人材を探してもらえる

・人材を紹介してもらえる保証がないため、大きな母集団を形成するのがむずかしい

待遇以外に自社の魅力を発信する必要がある

給与や福利厚生といった待遇は、就職・転職活動において非常に重要な要素です。

しかし採用広報を運用する際は、待遇だけでなく自社の魅力も発信しましょう。社員インタビューや創業の歴史以外にも、研修制度やキャリアップ制度などを紹介する方法が効果的です。

企業理念やビジョンに共感して一緒に働いてくれる人材は貴重な戦力になります。自社の活動を振り返って、まだ発信していない魅力がないか探してみてください。

採用広報に効果的なトリプルメディアとビジネスSNS

トリプルメディアとは「オウンドメディア」「アーンドメディア」「ペイドメディア」という3つのメディアの総称です。ここでは採用広報に効果的なトリプルメディアの特徴と、近年注目を集めているビジネスSNSを使った手法を紹介します。

オウンドメディア

オウンドメディアは、自社で管理・運用するメディアです。

企業の公式サイトや採用専用ページ、採用動画などがオウンドメディアに含まれます。より広義の意味では、採用活動のためのパンフレットや出版物もオウンドメディアと捉えられます。

オウンドメディアのメリットは、発信するコンテンツやテーマの内容を自社で自由に設定できる点です。中長期的な運用ができるため、自社の資産にもなります。オウンドメディアに応募フォームを設置して、求職者の応募を直接呼びかけるのもよいでしょう。

オウンドメディアを運用する際は、検索エンジンやユーザーから一定の評価を集められると、ターゲット層を集めやすくなります。人手や時間を有効に活用して、ターゲット層に役立つコンテンツを増やしていきましょう。

アーンドメディア

アーンドメディアとは、企業と直接関わりのない第三者が発信するメディアです。

企業とメディアの間で金銭のやり取りがないため、公平な情報を求めている求職者にアプローチできます

採用広報では、X(旧Twitter)、Facebook、InstagramといったSNSが効果的なアーンドメディアに挙げられます。SNSを通して、自社の情報が拡散されることで、潜在層を含めたユーザーに認知してもらえるでしょう。

定期的に発信をし続けると、自社が話題になる可能性も高まります。以下の表で各ツールを利用するユーザーの年齢層もチェックしておきましょう。

「採用広報 コンサルティング」グラフ画像

参考:総務省情報通信制作研究所|令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査<概要>

関連記事:採用広報でSNSを使うのって実際どうなの?メリットや成功事例、注意点なども解説

ペイドメディア

ペイドメディアとは、掲載費用を支払って広告を出稿するメディアです。

リスティング広告、雑誌広告、新聞広告、テレビ広告といった媒体が存在します。ペイドメディアを活用すると、就職や転職を考えている人に直接アピールできるため、即効性を期待できるのが大きな長所です。

メジャーな媒体を活用すれば、短期間で認知度を大幅に向上させることもできます。ただし、広告の掲載期間などによっては費用が膨大になるため、予算や獲得したいエントリー数に合わせた利用を心がけるのがおすすめです。

ビジネスSNS

ビジネスSNSとは、転職やキャリアアップに活用できるビジネス特化型のSNSです。近年のトレンドとして、WantedlyやYoutrustなどのビジネスSNSが注目を集めています。

例えば、Wantedlyはユーザー数300万人を超えている人気の高いツールです。就職や転職活動を考えている20代から30代の若者がメインユーザーとなっています。

企業側から気になるユーザーにメッセージを送信する「ダイレクトスカウト機能」を利用できるほか、自社だけの採用ページを設置できるなど、採用活動を効率化できる機能が揃っています。

SNSを就職活動に利用する人が増えている現在、新たな採用活動として注目を集めている手法です。

関連記事:Wantedlyのコンテンツ代行会社5選!選び方のコツも徹底解説

採用広報の成功事例4社

採用広報の成功事例を4社紹介します。それぞれの企業が活用したメディアや施策の特徴をチェックして、今後の参考にしてみましょう。

本田技研工業株式会社

https://www.honda.co.jp/career/

本田技研工業株式会社は、「Me and Honda,Career」という採用オウンドメディアを運用しています。同メディアでは、Hondaで働く社員の入社後のキャリアや今後の目標について語っている記事が多数掲載されており、求職者に役立つ情報が発信されています。

また、同メディアに掲載されている記事では、「#新卒」「#中途」「#再入社・アルムナイ」といった入社区分によるタグ付けや、職種や働き方でもタグ付けされているため、求職者は自分の立場に合わせて知りたい情報を獲得できるでしょう。

株式会社ニトリ

https://www.nitori.co.jp/recruit/newgraduate/

株式会社ニトリは、主に新卒の求職者を対象とした採用オウンドメディアを運用しています。同メディアでは、代表取締役社長からのメッセージやグループ理念が掲載されており、企業の概要から企業の沿革まで詳しく確認できます。

また、ニトリで働く社員の入社から現在までを辿った「私たちの働き方」では、ニトリで働く人物がスキルを身につけてきた経緯や実際のキャリアを辿ることが可能です。

人材教育に関する専用ページも設けられており、求職者が知りたい情報を網羅しているサイトといえるでしょう。

株式会社ベルク

https://new.belc.jp/

求職者の心にひびくような採用動画を、広報活動に活用した企業が株式会社ベルクです。

採用動画はYouTubeにて閲覧可能で、現在も就職・転職活動を行っている方に向けて発信されています。

こちらの採用動画では、就職活動に悩む1人の女性がショートフィルムのように紹介されていました。同動画は、2023年7月時点で150万回を超えるほど再生されており、採用動画によって企業の知名度を大きく向上させた事例といえます。

参考:株式会社ベルク 採用動画

三井住友カード株式会社

三井住友カード株式会社は、Instagramを採用広報に活用しています。同アカウントは2023年7月時点でフォロワー1,900人を超えています。

若手社員、新入社員、管理職、ワーキングマザーなど立場の異なる社員にインタビューした記事が掲載されており、その人の働き方や入社の理由などが詳細に記載されていました。

具体的な検討材料が欲しい求職者にとって非常に参考になるコンテンツです。

採用広報のコンサルティングや採用代行が担う役割

採用広報には、「自社とマッチした人材を発掘できる」「採用コストの削減」といった複数のメリットがありますが、メディアの運用・管理のためにはある程度の人手や時間が必要です。

もしも、効果的な採用広報を行うためのリソースが十分になかったり「エントリー数をもっと増やしたい」「定着率を改善できない」といった課題があったりすれば、採用コンサルティングや採用代行会社の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

採用コンサルティングとは、採用活動における課題を解決するためのコンサルティングサービスです。採用活動の立案から実行まで、自社の特徴に合わせて効果的な提案やアドバイスを受けられるでしょう。

そして、採用代行採用広報に関する業務を代行してくれるサービスとなります。企業が行うべき採用業務を代行してくれるため、人事担当者や採用担当者にかかる負担を大幅に軽減できます。

依頼できる内容
採用コンサルティング ・採用戦略に関する提案やアドバイス
・広報手法の提案やアドバイス
・面接マニュアルの作成
・面接官のトレーニング
・応募者への対応
採用代行サービス ・募集記事の作成
・広報用記事の作成
・採用ページの作成
・SNSの運用

採用コンサルティングと採用代行を明確に分けずに、両者を並行して行う会社も存在します。いずれかのサービスを利用すると、自社のリソースを節約しながら、効果的な採用活動を進められるでしょう。

採用広報のコンサルティングや代行は弊社にご相談ください

採用広報は、企業に欠かせない戦力となる人材を、より正確に効率的に獲得するための広報活動の1つです。その効果的な方法としてトリプルメディアやビジネスSNSの活用があり、獲得したい人材や自社の予算によって選ぶべき施策も変わってきます。

Harmonic Society(株)では、採用活動をはじめとして、コンテンツ・マーケティング戦略に関するさまざまなサービスをご提供しています。ぜひお問い合わせください。

関連記事:トリプルメディアとは?種類・役割・相乗効果を具体的に解説

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

最近の記事

  1. 取材記事を外注で強化する!信頼できる委託先の見つけ方と運用のコツ

  2. 取材を受けるメリットと気をつけなければいけないこと

  3. 期待するアクションにつなげるための取材とは

  4. ホームページのライティングは難しい? 外注するときの注意点とは

  5. MAツールの導入が効果的な場面とは?ツールの選び方や成果を出すコツも解説

TOP