日本でも徐々に浸透しつつあるインサイドセールス。一度は聞いたことがあるかもしれませんね。 インサイドセールスとセットになっているのが、フィールドセールス。 この記事をご覧になっている方はこの二つの違いを明確に説明できますか。
今回はインサイドセールスとフィールドセールスについて、違いやポイント、メリットやデメリット、導入する際のコツなどについて解説します。インサイドセールスとフィールドセールスをうまく活用しながら、売上をもっと拡大しようとしている事業者は必見です。
インサイドセールスとは、「内勤営業」のこと
インサイドセールスとは、内勤営業のことです。顧客のもとへ伺わずに、営業活動をするのが役割です。
インサイドセールスの発祥はアメリカで、1990年頃から徐々に発展を遂げてきています。アメリカの場合 、国土が広いため、各顧客に毎回訪問するのは、時間的にも物理的にも無理があります。出張コストや訪問する手間を軽減するために生まれた営業手法です。
新型コロナウイルスが本格化した2020年頃から日本でも少しずつ認知されるようになりました。コロナ禍において顧客への訪問が制限されたためです。
具体的な方法としては、電話やメール、 DM 、チャットやWeb会議などのWebツールを利用して顧客へアプローチします。
仕事内容は
- 見込み客の選定
- アポイントの獲得
- 商談の実施
- 契約の締結
- アフターフォロー
など、多岐に渡ります。
さまざまな手法を使って顧客のニーズをヒアリングし、集めた情報をもとに、顧客の課題解決に役立つ商品・サービスを提案します。
関連記事:インサイドセールスが顧客獲得を効率化する理由とは?
フィールドセールスとは、「外回り営業」のこと
フィールドセールスとは、外回り営業のことです。見込み客をリストアップし、電話やメールでアポを取り顧客先へ訪問。顧客の課題をヒアリングして、商品・サービスを提案します。
これまでのセールスの主流でしたから、イメージできる方も多いかもしれません。近年はあまり見かけませんが、飛び込み営業もフィールドセールスのひとつといえるでしょう。
インサイドセールスとフィールドセールスのメリット・デメリット
インサイドセールスとフィールドセールス、それぞれの営業手法にはメリット・デメリットがあります。ここからはそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
インサイドセールスのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
コストが削減できる | 情報共有システムを構築する必要がある |
営業効率を改善できる | 先方の状況がわかりづらい |
人材不足をカバーできる | 顧客がインサイドセールスに慣れていない |
先方に伺うことなく顧客にアプローチするため、訪問のために必要な交通費や出張費、訪問にかかる時間を削減できるのが最大のメリットです。
また場合によっては1時間毎に商談を組むことも可能で、より多くの顧客へ効率的にアプローチできます。
フィールドセールスの場合、営業マンが担当・訪問できる顧客数には限界があり、新たに人材を採用すれば、人件費もかかります。
インサイドセールスは、人材不足のカバーや採用コスト、人件費を削減する一助になるでしょう。
ただし業界によっては、インサイドセールスの認知度はまだ高くないこともあります。そのため商談の際の先方のリアクションを読みづらいというデメリットがあります。
また、Web会議やチャットに慣れていない担当者もいるため、商談までにむしろ時間がかかることもあります。
フィールドセールスのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
顧客との関係を深めやすい | 交通費や出張費などのコストがかかる |
商品やサンプルを手に取って説明できる | 1日にアプローチできる顧客数に限界がある |
臨機応変に顧客対応ができる | 営業スキルに偏りが出る |
筆者もこれまで数社で営業を経験しましたが、すべてフィールドセールスでした。
印象的なのは、アポのときはそっけない担当者でも実際に会って話してみると、意外と話しやすい方もいたこと。
実際に会うと、お互いのことを話して、関係を深めやすいです。営業マンが信頼されれば、商品を購入してもらえる可能性は高くなります。
また商品やサンプルを持ち込み商談の場で顧客にリアルな説明ができることもメリットです。
ただし訪問する際は、交通費や出張費などのコストがかかります。また、訪問できる件数が限られるため、効率を重視する場合 、デメリットが大きいです。
インサイドセールスとフィールドセールスを活かすポイント
ここからはインサイドセールスとフィールドセールスを活かすポイントを説明します。両者が活きれば、会社にとってプラスになることはいうまでもありません。
ポイント①:シームレスな情報共有
インサイドセールスで高確度の見込み客を見極め、その情報をフィールドセールスに落とし込むことができれば、取りこぼしのない効率的なセールスが可能です。
そのためにも、MAやSFA、CRMツールなどを用いたシームレスな情報共有は欠かせません。
ポイント② :顧客データの蓄積
アプローチした顧客のデータを蓄積させるのもポイントの一つです。
フィールドセールスが商談した結果、商談がうまくいかなかった場合、何がうまくいかなかったかなどの情報をインサイドセールスにも伝えて、顧客データを蓄積するのも重要です。
ケーススタディとして、インサイドセールスが別顧客との商談の際に、その情報をもとに商談することにより効率も上がり、 フィールドセールスも柔軟な営業活動が可能になります。
インサイドセールス導入の注意点
ここまでインサイドセールスとフィールドセールスそれぞれのメリットについて解説してきました。 ただしインサイドセールスを導入するにあたって注意事項があります。
インサイドセールスは高単価の業界(自動車や家などの不動産、大規模なシステムなど)には適さない
自動車業界、家やマンションなどの不動産業界は、 インサイドセールスよりもフィールドセールスの方が向いているかもしれません。
理由は商品の単価が高く、実際に商品を見て決めたいという傾向が強いからです。
共通するのは、営業マンのスキルが、契約に左右するという点。
また、長期に渡って顧客を担当する営業マンが存在する点なども挙げられます。
毎月の見込み顧客(リード)が少ない場合、インサイドセールスは効果が限定的
インサイドセールスを導入しても、毎月の見込み顧客が少なければ無駄なコストがかかり、部署立ち上げの手間だけかかった、なんてことにもなりかねません。
また、インサイドセールスとフィールドセールスの連携で新たなシステムの導入やコストもかかります。
導入する前には、見込み顧客のリサーチも含め必ず期待する効果が得られるかどうか検討しましょう。
インサイドセールスの実施には組織の見直しが必要
インサイドセールスを立ち上げる場合、人員の配置も重要です。
部署全員を社内の人間でやりくりしていく、もしくは一部だけ外部から招聘しそれ以外は社内の人間を配置するなど、 運営方法は多種多様です。
インサイドセールスを立ち上げるメリットを十分に考えて、組織の見直しを図る必要があります。
まとめ
ここまで、インサイドセールスとフィールドセールスついて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
新型コロナウイルスの影響もあり、顧客動向の急速な変化が進み、今後営業手法も変化していく可能性があります。
また日本の場合、さらに少子高齢化が進み、労働人口の減少は避けて通れません。
そういう意味でもインサイドセールスの位置付けは、さらに重要度を増すと考えられます。
上述したように両セールスともにメリットはあり、この二つをうまく活用することが、人材不足のカバーや営業効率の向上、売上アップなどを実現するカギとなるはずです。
これからの時代の救世主となるかもしれないインサイドセールス。導入の際は、コストや想定できる売上、人員など総合的に判断した上で導入しましょう。
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