「採用広報でSNSを利用するのってどうなの?」「利用するとしたらどんなメリットがあるのか知りたい!」と思っている人もいらっしゃるでしょう。
本記事では採用広報の手段としてSNSを利用するメリットや利用する際のポイント、実際に成功した企業例などを解説していきます。本記事で分かる内容は以下の通りです。
- 採用広報でSNSを利用するのが主流になった要因
- SNSを利用することによるメリット
- 採用広報で利用できるSNSの種類
- 実際に採用を活性化させた企業の例
採用広報でSNSを利用することをSNS採用(ソーシャルリクルーティング)と言う
近年、採用広報の手段としてSNSを利用することが主流になりつつあります。業界や業種問わず多くの企業で利用されているため、SNSはどの企業でも優れた広告効果があるものとして認識されていると言えるでしょう。
SNSを利用して採用広報を行うことを「SNS採用(ソーシャルリクルーティング)」と言います。
関連記事:採用広報とは?目的や利用媒体、始める流れなどを解説!
採用広報でのSNS活用が主流になった理由は3つ
採用広報でSNSを利用するのが当たり前になってきた要因としては、主に以下の3つが挙げられます。
表現方法が多彩なこと
求人メディアを利用するよりもSNSを利用する方が「表現の自由度」が高いです。文章だけではなく画像や動画などを用いることで、ユーザーに対して届けたいメッセージをより伝えやすくなります。
直近で言うとX(旧Twitter)の文字数制限が280字から4,000字に変更された点も、採用広報の面からすると追い風だと言えるでしょう。
情報収集先が変わってきていること
「あなたは就職活動の時、情報収集をどこでしていましたか?」
おそらくGoogleやYahoo!など「検索エンジン」と答える人が多いと思います。
ただ、現在は就活の情報収集先として「SNS」を利用している人も少なくありません。
株式会社ディスコの調査によると、2024年卒学生のうち30%以上がSNSを利用した情報収集を行っていると発表しています。
また、同じ調査によるとLINEの企業アカウントに登録している学生は半分以上です。
これは10年前の就職活動とは明らかに変化しており、SNSに全く触れずに就職活動をしている学生は少数派だと言えます。
世代問わずSNS利用者が増えてきていること
SNS利用者が年々増加していることも、採用広報としてSNSを利用する企業が増えた要因の1つです。
ICT総研の調査によると2017年末のSNS利用率が72.1%なのに対して、2024年末には83.2%まで上昇する見込みだと発表しています。
今やSNSは若者だけの媒体ではなく、若者からお年寄りまで多くの人が利用するプラットフォームにまで成長しているわけです。
採用広報の手段としてSNSを利用する企業の多くはターゲットを「若者」に限定していましたが、若者だけではなく30代以降にもアプローチができるようになっています。
幅広い年齢層に対して「自社の情報や活動」を自由度高く伝えられるため、今後もSNSを利用した採用活動は活性化していく可能性が高いでしょう。
採用広報でSNSを利用する目的の種類
SNS採用の目的は企業によって異なりますが、大きく以下の3つです。
- SNSから集客して採用
- 求職者との連絡ツール
- 企業の認知度拡大やブランディング
「採用活動のためにSNSを利用する」と聞くと、直接SNS経由で採用をすることをイメージする人もいらっしゃるかもしれません。
もちろんSNS経由での採用を実施している企業もありますが、どちらかというと「求職者との連絡ツール」または「企業の認知度拡大やブランディング」を目的とした利用が多いです。
SNS採用の目的をあらかじめ決めておくことでSNS運用に一貫性が出るため、まずは「なぜSNS採用をするのか」を明確にしておきましょう。
従来の採用広報にはないSNS採用のメリットは4つ
採用広報の手段はSNS以外にも下記のような方法が存在しています。
- オウンドメディア
- 転職サイト
- 採用イベント
SNSは、上記の手法よりも新しい採用広報手段です。SNSを用いた採用広報には、これまでの手法では得られなかったメリットもあります。4つに分けて、それぞれ解説していきます。
採用コストを下げられる
当たり前の話ですが「採用」には非常多額のコストが必要です。就職白書2020によると、新卒採用1人あたりの採用単価(内部コストと外部コストの和)は93.6万円となっています。
もし新卒採用をSNS経由で可能になれば、ほとんどコストをかけずに採用ができるわけです。
当然「求人サイトなどをすべて停止してSNSのみで採用すること」は現実的に難しいですが、SNSを利用すれば採用コストを下げられる可能性は十分にあります。
ただ、SNS運用には当然人件費が必要になるため、上手く利用できなければ内部コストが無駄になってしまうかもしれません。
「効果の即効性がない」かつ「運用の手間がかかる」というデメリットはありますが、上手くいけば採用コストを大幅にカットできるのがSNS採用の魅力だと言えます。
採用のミスマッチを減らせる
SNSは動画挿入によって文字だけでは伝えられない実際の会社の様子、タイムリーな情報開示が繰り返し発信出来るなど、その使い方によっては「社内の雰囲気」や「求める人物像」「実際に働いてからのイメージ」などを正確にユーザーに伝えられます。
ユーザーの会社に対する理解度が深ければ深いほど、採用後のミスマッチは少なくなりますよね。
求人サイトや面接を通して「ここの会社に入りたい」と思って入社したは良いものの、「こんなはずじゃなかった」という経験をした人は少なくないでしょう。
もちろんSNSによって完全にミスマッチを無くせるわけではないですが、その他の手法よりも会社に対して正しいイメージを抱いてもらいやすくなります。
拡散性を利用して多くの人にアプローチできる
採用広報の手段のうち「拡散性」を利用できるのはSNSだけと言っても過言ではありません。
例えばオウンドメディアで発信をしていたとしても「バズる」といった現象はまず起こり得ないでしょう。
SNSの発信は内容次第では1投稿で数百万人に見られる可能性もあります。
しかし逆に言うと悪い意味で拡散される可能性もあるため、炎上対策は入念に行っていく必要があるでしょう。
転職潜在層にもアプローチできる
「SNS以外の採用広報の手段」はあくまで就職・転職希望者である「就職・転職顕在層」にしかアプローチできません。求人サイトを見るのは、「就職(転職)したいもしくは興味がある人」が大半ですよね。
しかしSNSでは、「求人サイトに登録していない」「イベントに参加していない」けど、今後就職・転職する可能性がある「就職・転職潜在層」にアプローチできます。
早くから企業の名前やイメージを理解してもらっておくことで、ニーズが顕在化した際に「そういえば〜っていう会社あったな」と思い出してもらえるわけです。
採用広報で活用すべきSNSは6つ
あすすめのSNSとしては以下の6つが挙げられます。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は国内アクティブユーザー数が5,895万人(2022年時点)で10〜30代を中心に利用されているSNSです。「拡散性」に優れているため、情報の質が高ければ拡散されてフォロワー以外の人に見てもらえる可能性もあります。
また、最新情報やトレンドなど「リアルタイムの情報」が行き交っているSNSなので、最新の活動などをツイートするのがおすすめです。加えて冒頭でも解説したように、2023年にイーロンマスクがTwitterを買収した影響で、ツイートの上限文字数が280文字から4,000文字まで拡大されました。
採用広報として上限文字数が向上したことは好影響だと言えるでしょう。
Facebookは国内アクティブユーザー数が2,600万人(2019年時点)で30〜40代の割合が他のSNSと比べて多いです。
主要SNSの中で唯一の「実名制のSNS」で、ビジネス利用をしているユーザーが多いのも特徴の1つだと言えます。つまり娯楽として利用しているのではなく「真面目な交流」に利用している人が多いため、採用広報の手法としても「よりフォーマルな運用」をしている企業が多いのです。
10〜20代のユーザーはそこまで多くないため、30〜40代向けの人材を獲得したい場合には積極的に取り組むべきSNSだと言えるでしょう。
Instagramは国内アクティブユーザー数が3,300万人(2019年時点)で10〜20代の女性が特に利用しているSNSです。
Instagramは画像や動画を投稿するSNSで、より社内の雰囲気や風土を表現しやすく、それを見たユーザーの「ファン化」に繋げやすいSNSだと言えるでしょう。しかし、Twitterのように拡散されるSNSではないため、ハッシュタグなどを利用して地道に運用していく必要があります。
ただ、Instagramは、TikTokやYouTubeショートのように短尺動画に力を入れているため、「リール」をアルゴリズム的に優遇している傾向があります。2020年よりリリースされた短尺動画コンテンツ「リール」を利用することによって、運用初期でもフォロワー外に「バズる」可能性もあります。
短期間で多くの人にアプローチしたいのであれば、リールを上手く活用するのがおすすめです。
LINE
LINEは国内アクティブユーザー数は9,400万人(2023年時点)で世代問わず圧倒的なユーザー数を誇るSNSです。
他のSNSとは異なり、フォロワー外にアプローチする手段はほとんどありません。
つまりLINEを採用広報の手段として利用するには、まずLINEの友達登録をしてもらう必要があります。
例えば、イベントや会社説明会などで獲得したユーザーに向けて、メルマガのようにLINEを定期的に配信することで、自社への理解や興味を促進させることが可能です。
他のSNSよりもコミュニケーションの濃度が高いため、一度リストを獲得できれば有効な手段となるでしょう。
YouTube
YouTubeの国内アクティブユーザー数は7,000万人(2023年更新)で、LINEと同様に世代問わず利用されているSNSです。
文字や画像より、「動画」は細かいニュアンスなどの非言語要素を視覚・聴覚から伝えることができ、ユーザーの記憶に残りやすい傾向があります。
もちろん他のSNSと比べて投稿内容を作る時間がかかる点はデメリットですが、見てもらえさえすれば最も企業のイメージを伝えやすい手段だと言えるでしょう。
Wantedly
Wantedlyの国内アクティブユーザー数は360万人(2023年時点)で、20〜30代の採用に特化したSNSです。
企業の社風や働いているメンバーなどを記載できるため、社内の雰囲気をユーザーにオープンに伝えられます。
他のSNSとは異なり「月額5万円〜」のコストが必要にはなりますが、他の求人サイトと比べると低コストで運用が可能です。
SNSというよりも「求人サイト」に近くはなりますが、採用のミスマッチを減らしつつ低コストで採用を行いたい人にはおすすめです。
採用広報でSNSを使う際のポイント
SNSを広報活動で活かすポイントを解説していきます。
長期的な視野で運用する
採用広報の手段としてSNSを利用することは非常に有効ですが、短期的に成果が出るものではありません。
媒体によって成果の出るスピードは異なりますが、早くても半年くらいは必要だと認識しておきましょう。
SNS運用は二次関数的に伸びていくので、最初はフォロワーも獲得できなくて辛いと思いますが継続して続けることが重要です。
他の業務で忙しかったとしても週に2〜3投稿ほどはするのをおすすめします。
社員にも協力してもらう
SNSで採用に関する情報を集めているユーザーは「実際に働いている社員の雰囲気」の情報を求めています。
毎回同じ人が出てくるよりも、違った人が複数人登場した方が「こんな社員さんも働いているのか」というイメージが湧きやすいですよね。
同じ部署の人以外にもさまざまな特徴を持つ社員が出てきた方がユーザーは嬉しいので、他の社員に協力してもらうのもおすすめです。
SNSの特徴とターゲットを理解する
「採用したい人材がどのSNSに多いのか」
「そのSNSの特徴は自社の求めるものなのか」は必ず確認すべき項目です。
一口にSNSと言っても特徴も違えば利用しているユーザーの属性も大きく異なります。
同じ手段でSNSを運用したとしても媒体が違うだけで成功するか失敗するかも変わってくるでしょう。
採用広報の手段としてSNSを利用する目的を明確にし、ターゲットに合ったSNSを選んで運用してください。
採用広報でSNSを利用した成功事例
先ほど紹介した6つのSNSそれぞれの成功事例を紹介します。
Twitter:ナブテスコ
ナブテスコは日本の機械メーカーでTwitterのフォロワー数は約1.3万人です。他の大手企業でも、「採用のためのSNS」で1万人を超えていない企業も少なくありません。
ナブテスコではインターンシップや説明会などの「告知」だけではなく、社員インタビューなども実施しています。
多種多様な社員をTwitter上に登場させることによって、会社で働いた際のイメージが付きやすいのが成功要因の1つでしょう。
また、会社独自のキャラクターも定期的に登場させるなどユーモアにも溢れているのも魅力的です。
Facebook:国土交通省
国土交通省のFacebookフォロワー数は約4,000人です。
国土交通省のFacebookはとにかく社員インタビューが多く、各インタビューの内容も濃いのが特徴として挙げられます。
社員インタビューを全部読むだけでも、実際に働く人の雰囲気やイメージなどが分かるでしょう。
特に新卒採用に力を入れていることもあり、若手を中心にインタビューしているのも効果的です。
Instagram:サイバーエージェント
サイバーエージェントはAbemaやアメブロなどを代表としてインターネット事業を運営している企業で、Instagramのフォロワー数は約6,000人です。
サイバーエージェントのInstagramアカウントは社員インタビューだけではなく、内定者による「学生へのメッセージ」を語った動画を配信しています。
Instagramの強みを活かした「動画」を利用することによって、実際に働いている人のイメージが付きやすくなっているでしょう。
LINE:アスナロ
アスナロは新卒就活支援サービスなどを運営している企業です。
電話やキャリアメールで求職者とのやり取りをしていたのを、LINEに変更することによってレスポンス速度が向上し応募率が1.5倍になりました。
LINEでやり取りすることによってユーザー側の「見落とし」や「返信忘れ」を減らせるため、より効率良くユーザーとのやり取りが可能です。
メールや求人サイトのメッセージよりも、普段利用しているLINEでやり取りできるのはユーザーにとっては非常に嬉しい点ですよね。
YouTube:DMMグループ
DMMグループはDMMテレビを始めとしてさまざまな領域にて事業を運営している企業で、YouTube登録者数は約400人です。
YouTubeの性質上、採用のためのチャンネルで多くの登録者数を獲得するのは難しいため、成功していても登録者数が少ないパターンも少なくありません。
DMMグループでは職種ごとに仕事内容についてのインタビューを動画として配信しているため、文章よりも雰囲気が伝わりやすいです。
動画コンテンツは作成に手間がかかりますが、一度作れば色々なところで使い回しも効くのでチャレンジしてみるのもおすすめします。
Wantedly:株式会社オムニス
株式会社オムニスはアパレルの受注や出荷ステータスを管理するツールなどを提供しているファッションテクノロジーの企業です。
Wantedlyを活用することによって採用活動の手間を減らしつつ1/4のコストで採用に成功した実績があります。
Wantedly内で利用した機能はサイト内広告の「トップページ広告」と他SNSへ拡散できる「SNS広告」です。
採用広報でSNSを活用して採用活動の質を上げよう!
採用広報の手段として「SNS」が注目されてきたのはここ最近です。
これまでは新卒1人採用するのに100万円程度のコストがかかっていた例を、SNSを利用すればもしかすると半分以下に抑えられるかもしれません。
加えて採用後のミスマッチを減らしたり、就職・転職潜在層にもアプローチできたりするため、非常におすすめの手法です。
短期的に成果が出るものではありませんが、継続して発信することによって効果が出てくるようになるため、ぜひチャレンジしてみてください。
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