「会社設立の手続きをできるだけ簡単に済ませたい」「忙しくて何度も役所に足を運ぶ時間がない」――そんな起業家の味方が、オンライン会社設立サービスです。freee会社設立やマネーフォワード クラウド会社設立などのサービスを利用すれば、定款の作成から登記書類の準備まで、ほぼオンラインで完結できます。
従来、会社設立には司法書士や行政書士への依頼が一般的でしたが、オンラインサービスの登場により、専門知識がなくても自分で手続きを進められるようになりました。しかも、多くのサービスが無料で利用できます。
本記事では、オンラインで会社を設立する具体的な手順、主要サービスの比較、メリットと注意点を詳しく解説します。
オンライン会社設立サービスとは?
オンライン会社設立サービスは、会社設立に必要な書類の作成をWeb上の画面に沿って進められるサービスです。質問に回答するだけで定款や登記申請書類が自動生成されるため、法律の専門知識は不要です。
オンラインサービスでできること
- 定款の自動作成:商号、事業目的、資本金などを入力すると、法的要件を満たした定款が自動生成される
- 電子定款の作成:提携する行政書士を通じて、電子定款の作成・認証を代行
- 登記申請書類の作成:設立登記申請書、就任承諾書、払込証明書などの必要書類を自動生成
- 届出書類の作成:税務署、都道府県、年金事務所への届出書類も作成可能
- 手続きの進捗管理:どのステップまで完了しているか、次に何をすべきかを画面上で確認
従来の方法との比較
従来の方法(司法書士に依頼):
- 費用:法定費用+司法書士報酬(5万〜15万円)
- 手間:打ち合わせ、資料提供、確認作業が必要
- 期間:依頼から完了まで2週間〜1ヶ月
- メリット:専門家のチェックが入るため安心
オンラインサービス利用:
- 費用:法定費用のみ(サービス利用は無料が多い。電子定款の作成代行費5,000円程度が必要な場合あり)
- 手間:画面の指示に従って入力するだけ
- 期間:書類作成は最短1日。全体で1〜2週間
- メリット:コストが安く、自分のペースで進められる
主要なオンライン会社設立サービスの比較
日本で利用できる主要なオンライン会社設立サービスを比較します。
freee会社設立
会計ソフト大手のfreeeが提供するサービスです。利用実績が豊富で、UIのわかりやすさに定評があります。
特徴:
- 利用料金:無料(電子定款作成代行費5,000円は別途必要。freeeの有料プラン契約で無料になるケースあり)
- 対応法人形態:株式会社、合同会社
- 電子定款:提携行政書士による代行に対応
- スマートフォン対応:スマホからも書類作成が可能
- 会計ソフトとの連携:freee会計との連携がスムーズ
メリット:
- ステップバイステップのガイドが非常にわかりやすい
- 設立後の届出書類も一括で作成できる
- チャットサポートで疑問点を相談できる
マネーフォワード クラウド会社設立
マネーフォワードが提供するサービスです。マネーフォワードの各種クラウドサービスとの親和性が高いのが特徴です。
特徴:
- 利用料金:無料(電子定款作成代行費5,000円は別途必要)
- 対応法人形態:株式会社、合同会社
- 電子定款:提携行政書士による代行に対応
- 会計ソフトとの連携:マネーフォワード クラウド会計との連携がシームレス
メリット:
- マネーフォワードの他サービス(確定申告、給与計算、経費精算など)とのデータ連携が便利
- 設立後のバックオフィス業務を一元化しやすい
- 操作画面がシンプルで迷いにくい
弥生のかんたん会社設立
会計ソフトの老舗である弥生が提供するサービスです。
特徴:
- 利用料金:完全無料(電子定款作成代行費も無料)
- 対応法人形態:株式会社、合同会社
- 電子定款:無料で電子定款の作成代行に対応
メリット:
- 電子定款の作成代行が無料なのは大きな強み
- 弥生会計との連携がスムーズ
- 電話サポートが充実している
どのサービスを選ぶべきか
3つのサービスの基本的な機能に大きな差はありません。選択のポイントは「設立後にどの会計ソフトを使うか」です。
- freee会計を使う予定 → freee会社設立
- マネーフォワード クラウド会計を使う予定 → マネーフォワード クラウド会社設立
- 弥生会計を使う予定 / 電子定款代行費を無料にしたい → 弥生のかんたん会社設立
オンライン会社設立の具体的な手順
ここでは、オンラインサービスを利用した会社設立の一般的な手順を解説します(freee会社設立をベースに説明しますが、他のサービスもほぼ同様の流れです)。
ステップ1:アカウント作成と基本情報の入力
サービスのWebサイトでアカウントを作成し、以下の基本情報を入力していきます。
- 会社の形態(株式会社 or 合同会社)
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金額
- 出資者・役員の情報(氏名、住所、出資額)
- 決算期
画面の指示に従って入力するだけなので、30分〜1時間程度で完了します。
ステップ2:定款の作成と電子定款の手続き
入力した情報をもとに、定款が自動生成されます。内容を確認し、問題がなければ電子定款の作成手続きに進みます。
電子定款の作成は、サービスと提携している行政書士が代行します。通常、3〜5営業日で電子定款が完成します。
株式会社の場合は公証役場での認証が必要です。テレビ電話を利用したオンライン認証に対応している公証役場を選べば、公証役場に出向く回数を減らせます(ただし、完全にオンラインだけで完結しない場合もあります)。
ステップ3:資本金の払い込み
定款が完成したら、資本金を発起人(代表者)の個人口座に払い込みます。払い込み後、通帳のコピーを撮影して払込証明書を作成します。オンラインサービスでは、スマートフォンで通帳やネットバンキングの画面を撮影してアップロードする機能が用意されていることが多いです。
ステップ4:登記書類の印刷と押印
オンラインサービスが自動生成した登記申請書類を印刷し、必要な箇所に押印します。この段階で会社実印が必要になるため、事前に準備しておきましょう。
印刷・押印が必要な主な書類:
- 設立登記申請書
- 就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑届出書
- 発起人決定書(本店所在地等の詳細を定める書面)
ステップ5:法務局への登記申請
書類を法務局に提出します。提出方法は以下の3つです。
窓口提出:法務局に直接持参。不明点をその場で確認できるメリットがあります。
郵送提出:書類を郵送で提出。到着日が設立日になるため、設立日の指定が難しい点に注意。
オンライン申請:法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して電子申請。ただし、電子証明書の準備が必要で、初めてだと設定にやや手間がかかります。
登記申請日が会社の設立日になるため、特定の日を設立日にしたい場合は、窓口提出またはオンライン申請を利用しましょう。
ステップ6:登記完了後の届出書類の提出
登記が完了したら、税務署・都道府県税事務所・年金事務所などへの届出を行います。オンライン会社設立サービスでは、これらの届出書類も自動生成してくれるため、印刷して提出するだけで済みます。
e-Taxを利用すれば、税務署への届出もオンラインで完結できます。freee会計やマネーフォワード クラウドからe-Tax連携で電子申告を行うことも可能です。
完全オンラインで会社設立は可能か?
「完全に」オンラインだけで会社設立が完結するかというと、現時点では一部の手続きにオフラインの対応が必要です。
オンラインで完結する部分
- 書類の作成(オンライン会社設立サービス)
- 電子定款の作成代行(サービス提携の行政書士が対応)
- 登記申請(オンライン申請システムを利用する場合)
- 税務署への届出(e-Taxを利用する場合)
オフライン対応が必要な部分
- 公証役場での定款認証(株式会社のみ):テレビ電話認証が可能な公証役場もあるが、完全オンラインではないケースも
- 資本金の払い込み:銀行口座への振込操作はオンラインで可能だが、通帳のコピーの準備が必要
- 書類への押印:印刷した書類に実印を押す必要がある
- 印鑑カードの受け取り:法務局での受け取りが基本
合同会社の場合は定款認証が不要なため、株式会社よりもオンライン完結に近い形で設立できます。
オンライン会社設立の費用を最小限に抑える方法
オンラインサービスを利用して会社設立費用を最小限に抑える方法を紹介します。
株式会社の場合の最低費用
- オンラインサービス利用料:0円
- 電子定款作成代行費:0〜5,000円(サービスによる)
- 定款認証手数料:3万〜5万円
- 定款謄本手数料:約2,000円
- 登録免許税:15万円
- 合計:約18万〜20万円
紙の定款で自分で手続きを行う場合は上記に加えて収入印紙代4万円が必要ですが、電子定款を利用することで4万円を節約できます。
合同会社の場合の最低費用
- オンラインサービス利用料:0円
- 電子定款作成代行費:0〜5,000円
- 登録免許税:6万円
- 合計:約6万〜6万5,000円
合同会社は定款認証が不要なため、株式会社の3分の1程度のコストで設立できます。
費用をさらに抑えるコツ
- 電子定款を利用する:収入印紙代4万円を節約
- 弥生のかんたん会社設立を使う:電子定款代行費が無料
- 自分で登記申請を行う:司法書士への依頼費用(5万〜15万円)を節約
- 会計ソフトの年間契約キャンペーンを活用:会社設立サービスとセットで割引になるケースがある
オンライン会社設立の注意点
オンラインサービスは便利ですが、注意すべきポイントもあります。
注意点1:テンプレートの限界
オンラインサービスで作成される定款はテンプレートベースのため、特殊な条項や複雑な株主構成には対応できないケースがあります。以下のような場合は、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
- 種類株式(優先株式・議決権制限株式など)を発行したい
- 現物出資(金銭以外の財産を出資)を行いたい
- 複雑な役員構成や機関設計を行いたい
- ベスティング条項を定款に組み込みたい
注意点2:入力ミスは自己責任
オンラインサービスでは、入力した内容がそのまま書類に反映されます。商号の漢字間違い、住所の番地ミスなどがあると、登記申請が補正(差し戻し)されます。入力後は必ず複数回確認してから次のステップに進みましょう。
注意点3:サポートの範囲
無料のオンラインサービスでは、法的なアドバイスは提供されません。「事業目的にこの文言を入れるべきか」「定款にこの条項を追加すべきか」といった判断は自分で行う必要があります。不安がある場合は、サービスの有料プランや専門家への相談を検討しましょう。
注意点4:電子定款の所要時間
電子定款の作成代行には通常3〜5営業日かかります。急いで会社を設立したい場合は、この日数を見込んでスケジュールを立てましょう。
まとめ|オンラインサービスで賢く会社を設立しよう
オンライン会社設立サービスは、起業のハードルを大幅に下げてくれる便利なツールです。本記事のポイントをまとめます。
- freee会社設立、マネーフォワード クラウド会社設立、弥生のかんたん会社設立が主要サービス
- 多くのサービスが無料で利用でき、画面の指示に従うだけで書類が作成できる
- 電子定款を利用すれば収入印紙代4万円を節約可能
- 株式会社は約18万〜20万円、合同会社は約6万円で設立できる
- サービスの選択は「設立後に使う会計ソフト」に合わせるのがおすすめ
- 特殊な定款条項が必要な場合は、専門家への相談を検討する
- 設立後の届出書類もサービス上で作成できるため、手続き全体を効率化できる
オンラインサービスを活用すれば、会社設立の手続きにかかる時間とコストを最小限に抑え、事業の立ち上げに集中できます。これから起業を考えている方は、まずはサービスに登録して、書類作成を試してみてください。実際に使ってみると、想像以上に簡単に手続きが進められることを実感できるはずです。
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