vLLMとは?Ollamaとの違いと使い方|社内LLMサーバーを高速化する本命ツール

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ローカルLLMをOllamaで動かし始めた企業から、しばらくすると必ず出てくる相談があります。「利用者が増えたら応答が遅くなった」「複数のシステムから同時に呼ぶと詰まる」——。個人利用では快適だったローカルLLMが、チームや部門で共有した途端に息切れする。この壁を越えるためのツールがvLLMです。

この記事では、vLLMが速い理由(PagedAttention・連続バッチング)をかみ砕いて説明し、Ollamaとの使い分け、導入手順、つまずきやすいポイントまでを解説します。社内LLMサーバーの次の一手を検討している方に向けた内容です。

vLLMとは?大人数で使うための「高スループット推論エンジン」

vLLMは、カリフォルニア大学バークレー校の研究から生まれたオープンソースのLLM推論エンジンです。特徴をひとことで言えば、「同時に大量のリクエストをさばくこと」に特化していること。個人が1対1で対話する用途ではなく、社内の複数ユーザー・複数システムからのリクエストが集中するサーバー用途で本領を発揮します。

OpenAI互換のAPIサーバーを内蔵しているため、ローカルLLMのAPIサーバー化で解説したとおり、既存のOpenAI API対応ツール(LangChainや各種チャットUIなど)の接続先を差し替えるだけで利用できます。

速さの理由1:PagedAttention

LLMの推論では、会話の文脈を保持する「KVキャッシュ」がGPUメモリを大量に消費します。従来の方式では、このキャッシュ領域を会話ごとに大きめに連続確保するため、実際には使われないメモリの「予約席」が大量に発生していました。

PagedAttentionは、OSの仮想メモリ管理と同じ発想で、キャッシュを小さなブロックに分割して必要な分だけ割り当てます。無駄な予約席がなくなることで、同じGPUメモリでより多くの同時リクエストを処理できるようになります。

速さの理由2:連続バッチング(Continuous Batching)

従来のバッチ処理は「全員の処理が終わるまで次の組を乗せない」バス方式でした。連続バッチングは、処理が終わったリクエストの席に新しいリクエストを即座に割り当てる方式です。席が空くたびに乗客を乗せ続けるため、GPUの遊び時間が減り、スループット(一定時間にさばける処理量)が大きく向上します。

vLLMとOllamaの使い分け

結論から言うと、両者は競合ではなくフェーズの違いです。

  • Ollama:導入が数分で完了し、個人〜小規模チームの利用に十分。CPUでも動く。まず試す・日常的に使う段階の主役
  • vLLM:セットアップに手間がかかる代わりに、同時アクセスへの強さが段違い。部門・全社レベルでの共有サーバーや、システム組み込みでリクエストが集中する段階の主役

目安として、利用者が数名でチャット中心ならOllamaのままで問題ありません。「同時に使うと待たされる」という声が出始めたら、あるいは社内チャットボットや自動処理パイプラインなど機械からの大量リクエストが発生する設計になったら、vLLMへの移行を検討するタイミングです。

注意点として、vLLMは基本的にNVIDIA GPUが必須です(CPU推論を割り切って使えるOllamaとの大きな違いです)。ハードウェア選定はローカルLLMに必要なPCスペックもあわせてご覧ください。

vLLMの基本的な使い方

ステップ1:インストール

Python環境(仮想環境推奨)にpipでインストールします。

pip install vllm

CUDA対応のNVIDIAドライバが正しく入っていることが前提です。GPUが認識されない場合は、まず nvidia-smi でドライバの状態を確認してください。

ステップ2:OpenAI互換サーバーの起動

モデルを指定してAPIサーバーを立ち上げます。モデルはHugging Faceから自動でダウンロードされます。

vllm serve Qwen/Qwen2.5-7B-Instruct

起動すると、標準では http://localhost:8000/v1 にOpenAI互換のエンドポイントが公開されます。既存のアプリケーションは、接続先URLとモデル名を差し替えるだけで移行できます。

ステップ3:動作確認と調整

まず1リクエストで応答品質と速度を確認し、次に複数同時リクエストでスループットを確認します。GPUメモリの使用率は gpu_memory_utilization オプションで調整でき、量子化モデル(AWQなど)を使えばVRAM消費を抑えられます。チューニングの考え方はローカルLLMの高速化テクニックと共通です。

導入前に知っておきたい注意点

  • ハードルはOllamaより高い:Python環境・CUDA・モデル形式(Hugging Face形式が基本。OllamaのGGUFとは異なる)など、前提知識が一段増えます
  • VRAMは余裕を持って:同時処理数を増やすほどKVキャッシュの消費も増えます。7B級でも実運用では16GB以上を推奨します
  • セキュリティ設定は自社責任:APIサーバーを社内公開する場合は、ファイアウォールでの接続元制限と認証(リバースプロキシ等)を必ずセットで。この点はOllamaと同じです
  • まずOllamaで要件を固める:どのモデルで・どの業務を・どれくらいの品質でこなせるかはOllamaで検証済みにしてから、同じモデル系列でvLLMに載せ替えるのが失敗しない順序です

まとめ:個人利用はOllama、共有基盤はvLLM

vLLMは、PagedAttentionと連続バッチングによって「大人数・大量リクエスト」に強い推論エンジンです。ローカルLLMを個人の道具から会社の基盤へ育てる段階で、最有力の選択肢になります。まずはOllamaで小さく検証し、共有段階でvLLMへ——という二段構えで進めれば、投資も学習コストも無駄になりません。

「社内LLM基盤をどう設計すべきか」「自社の利用規模ならどの構成が適正か」といった相談は、当社のIT顧問・AI導入支援で承っています。要件整理からPoC、社内展開まで、技術の分かる相手に直接相談したい方はお気軽にどうぞ。

#vLLM#ローカルLLM#Ollama#APIサーバー#GPU
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