「Web広告におけるCPAってなに?」「CPOやCPRとの違いを知りたい」と思っている人もいらっしゃるでしょう。
CPAは「顧客獲得単価」とも呼ばれる、1人の顧客を獲得するために必要な「広告費」のことです。とは言っても具体的な計算方法や「CPAをどういう場面に使うのか」など分からないことも多いですよね。
そこで本記事ではCPAの計算方法やよく似た意味の「CPO」との違い、CPAを改善する方法などを解説していきます。
[st-midasibox title=”本記事で分かる内容は以下の通りです。” webicon=”st-svg-check-circle faa-ring animated” bordercolor=”#FFC107″ color=”” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”” borderradius=”5″ titleweight=”bold” myclass=””]
- CPAを低くする具体的な方法
- CPAは低ければ良いわけではない理由
- CPAとCPO・CPR・ROASなどの広告用語の違い
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CPAとは顧客獲得単価を意味している
CPA(Cost Per Action)とはWeb広告において「1コンバージョン獲得するためにかかった広告費」のことで、顧客獲得単価とも呼ばれます。
コンバージョンを獲得するための広告費は当然低い方が良いため、CPAは低いのが高水準だと言えるでしょう。
コンバージョンをどこに設定するのか(コンバージョンポイント)は企業や商材によって異なりますが、以下のような例が挙げられます。
- 商品購入
- 資料請求
- サービス導入
- お問い合わせ
先ほども解説したようにCPAは基本的に低ければ低いほど「費用対効果の高い広告運用」だと言えます。
ただ「CPAを下げること」を主目的にしてコンバージョン数が少なくなっては意味がありません。
コンバージョン数の最大化を狙いつつもCPAをできるだけ下げることがWeb広告において重要です。
CPAの計算方法
先ほども解説したように、CPAは1コンバージョンあたりにかかった「広告費」を意味します。つまりCPAを求める計算式は以下の通りです。
- CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
例えば1ヶ月で10万円分の広告費を払い、100件のコンバージョンが発生した事例で計算してみましょう。
- CPA = 100,000円 ÷ 100件 =1,000円
上記の例の場合、CPA(顧客獲得単価)は1,000円となります。仮にこの1ヶ月の間で200件のコンバージョンが発生したとするとCPAは500円です。
広告費が同じなのであれば、コンバージョン数が多ければ多いほど当然CPAは低くなり「費用対効果の高い広告運用」だと言えます。
CPAとCPOの違いなど広告用語を確認
[st-slidebox webicon=”” text=”+ CPAと意味が似ている広告用語として以下の3つが挙げられます。” myclass=”” bgcolor=”” color=”#1a1a1a” margin_bottom=”20″]
- CPO(Cost Per Order)
- CPR(Cost Per Response)
- ROAS(Return On Advertising Spend)
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広告用語 | 広告用語 | 計算式 |
CPO | 1販売あたりにかかった広告費 | 広告費 ÷ 受注件数 |
CPR | 1申込みあたりにかかった広告費 | 広告費 ÷ 申込み件数 |
ROAS | 広告費に対する売上の割合 | 売上 ÷ 広告費 × 100 |
CPOとCPRに関しては、CPAの一部に分類されるイメージです。商品・サービスの「購入」の場合はCPO、無料サンプルやお試し期間など「無料もしくは安価な商材」の場合はCPRが利用されています。
ただ、Web広告ではCPOやCPRなどを利用する場面は少なく、基本的にどのような種類でも「CPA」が利用されている場面が多いです。詳しくは分類されていますが、なんとなく理解しておけば問題ありません。
逆に「ROAS」に関しては少し違った側面を持った広告用語だと言えるため、個別に理解する必要があります。ROASは「広告費に対する売上の割合」を意味する広告用語で、広告の費用対効果を確認するための指標です。計算式は表にも記載したように「売上 ÷ 広告費 × 100」で計算され、「%表記」で表されます。
例えば広告費が10万円で売上が20万円の場合、ROASは200%になるわけです。
Web広告の運用をする場合、ROASは最低限100%以上でなければなりません。ただ、あくまで計算式に利用されている数値は「売上」なため、ROASが100%でも黒字とは言えません。
売上ではなく「利益」を広告費で割ったものが「ROI(Return On Investment)」です。ROIが100%以上であれば黒字だと言えます。
CPAの設定方法は2種類
[st-slidebox webicon=”” text=”+ CPAを設定する場合には以下の2種類から選択して設定しましょう。” myclass=”” bgcolor=”” color=”#1a1a1a” margin_bottom=”20″]
- 限界CPA
- 目標CPA
[/st-slidebox]
限界CPA
限界CPAとは損失が出ないギリギリラインのCPAです。1コンバージョンあたりの収益が2,000円だとすると、限界CPAは2,000円となります。
広告運用を始めたてであればそもそも黒字を出すことが難しいため、まずは限界CPAを目標にする場合が多いです。
「赤字が出ない範囲であれば、試運転的に始めたい」と思っている人も多いですよね。
また継続利用(サブスクリプション型サービス)を前提としているのであれば、顧客生涯価値(LTV)から限界CPAを求めることになります。
単発と継続の場合の限界CPAを求める計算式は以下の通りです
- 単発:限界CPA = 顧客単価 × 利益率
- 継続:限界CPA = 顧客生涯価値 × 利益率
目標CPA
目標CPAとは「どの程度利益を得たいのか」を基準にして設定するCPAです。限界CPAとは異なり、各社それぞれで最適な目標CPAは異なります。
例えば顧客単価が3,000円の商材を販売している場合を想定してみましょう。
広告費を考慮した上で最終的に「1コンバージョンあたり2,000円の利益が欲しい」となれば、1人あたり1,000円(顧客単価 – 目標利益)で獲得する必要があります。
つまり今回の例であれば、目標CPAは1,000円となるわけです。
限界CPAと同様に継続利用を前提として商材の場合には、顧客1人あたりの生涯価値(LTV)から目標CPAを計算することになります。
CPAを設定する場合の注意点
もちろん「CPAがいくらか」はWeb広告の運用において非常に重要な指標(KPI)の1つです。ただ、広告運用の最終的な目的は「利益の最大化または最適化」だと思います。「とにかく収益を最大化したい」というパターンと「効率良く利益を出せる範囲で最大限広告を出稿したい」というパターンが大半ですよね。
目的を「CPAの最適化」に設定してしまうと広告の露出が少なくなってしまい、結果としてコンバージョン数が少なくなってしまう可能性が高いです。
例えばCPAが「1,000円」「2,000円」「3,000円」の3パターンで、それぞれのコンバージョン数が「200件」「500件」「1,000件」の場合を想定してみましょう。3パターンにおける最終的な収益を表で確認してみてください。
CPA | CV数 | 広告費 (CPA×CV数) | 顧客単価 (利益率60%) | 売上(顧客単価 × CV数) | 粗利(顧客単価 × 0.6 × CV数 ) | 収益(粗利 – 広告費) |
1,000円 | 200件 | 200,000円 | 10,000円 | 2,000,000円 | 1,200,000円 | 1,000,000円 |
2,000円 | 500件 | 1,000,000円 | 10,000円 | 5,000,000円 | 3,000,000円 | 2,000,000円 |
3,000円 | 1,000件 | 3,000,000円 | 10,000円 | 10,000,000円 | 6,000,000円 | 3,000,000円 |
この表を見て分かるように、CPAが高くなったとしてもコンバージョン数が伸びれば最終的な収益は高くなります。ただ、先ほど解説したROAS(広告費に対する売上)の観点で見ると上から順に「1000%」「500%」「333%」です。
つまり、広告費の回収率で見るとCPAが1,000円のパターンが最も高水準だと言えます。
Web広告を運用する場合には「どこまで広告費をかけられて、どのくらいの収益を得たいのか」を明確にしましょう。かけられる広告費と目指す収益が明確になれば「どのくらいの目標CPAを設定すべきか」が明確になりやすいです。
CPAを改善方法は大きく2種類
まずはCPAの計算式をもう一度おさらいしてみましょう。
- CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数(CV)
広告費用とコンバージョン数に関してももう少し細分化でき、その計算式が以下の通りです。
- 広告費 = クリック数 × クリック単価(CPC)
- CV数 = クリック数 × コンバージョン率(CVR)
これらの計算式を組み合わせると、CPAの計算式は以下のようにも言い換えられます。
- CPA = クリック単価(CPC) ÷ コンバージョン率(CVR)
つまりCPAを抑えるためには「クリック単価(CPC)を低くする」もしくは「コンバージョン率(CVR)を高くする」のが効果的だと言えるでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
クリック単価(CPC)を低くする
例えばリスティング広告の場合、クリック単価(CPC)は主に以下の2つ項目によって決められます。
- 品質スコア
- 競合の多さ
品質スコアとは「広告を出稿しているキーワードと広告自体の関連性」やランディングページ(LP)の利便性などから算出された1〜10の数字です。
詳しい計算は省きますが、品質スコアが高くなればクリック単価は安くなります。
品質スコアを上げるためにはクリック率の低いキーワードを見直したり、ランディングページの改善をしたりするのが効果的です。
また、リスティング広告はオークション形式で入札が行われるため、競合が多ければ多いほど基本的にクリック単価は高くなります。
つまりクリック単価を下げたいのであれば、競合が少ないキーワードに対して広告を表示していくのが重要です。
関連記事:リスティング広告とは?利用すべき人の特徴とメリットを解説!
コンバージョン率(CVR)を高くする
コンバージョン率(CVR)が低い原因はさまざまです。リスティング広告の場合、代表例として以下が挙げられます。
- キーワード選定のミス
- LP遷移後の離脱率が高い
- フォーム遷移後の離脱率が高い
- ターゲティングを適切に行っていない
それぞれ簡単に解説します。
キーワード選定ミス
リスティング広告の運用当初に関しては、CVを獲得できていないキーワードも広告を出稿している場合もあるでしょう。
短期間で判断するのはあまりおすすめしませんが、「一定期間運用してもCVが獲得できないキーワード」に関しては除外キーワード設定を行って広告を停止した方が良いです。
マイナスの効果を出しているキーワードを除外するだけでも総合的なCVRは上昇するため、まずはCVが獲得できていないキーワードを選定して除外していきましょう。
LP遷移後の離脱率が高い
そもそもWeb広告はユーザーに広告をクリックしてもらい、ランディングページ(LP)経由で商品を購入(CV)してもらわなければなりません。
つまりLPのクオリティが低ければCVRも当然低くなってしまうため、LPのクオリティを高める必要があります。
また、そもそも広告の順位に「ランディングページの利便性」は深く関係してくるため、広告自体の効果を高めるためにもLPの調整(LPO)は行うべきです。
ABテストなどを用いて最適なLPになるように継続的な努力をしていきましょう。
フォーム遷移後の離脱率が高い
せっかくLPのクオリティが高くユーザーが「購入しよう」という気になったとしても、購入の最終ステップである「フォーム」が使いにくければCVを逃してしまう可能性もあります。
フォーム最適化(EFO)に関しても、ランディングページ最適化(LPO)とともに継続的に行っていくべきでしょう。
LPとフォーム両方に言えることですが、PCとスマホどちらの画面もしっかりと確認してデバイスごとに最適化を行うのがおすすめです。
ターゲティングを適切に行っていない
ターゲティングをうまく行えば、自社の求めるユーザーに対してピンポイントで広告を表示できます。
広告を表示するユーザーが自社のターゲット層に近づけば近づくほど当然CVRは高くなります。
広告を配信してみて効果が悪い項目については積極的にターゲティングで除外して、よりCVRが高い項目に絞るのがおすすめです。
CPAはWeb広告における重要な指標の1つ
CPAは「1コンバージョンを獲得するのに必要な広告費」を意味しています。
Web広告は「顧客1人あたりどのくらいで獲得できたのか」をデータで細かく確認できるのが強みです。
CPAが高いキーワードや広告を調整することによって徐々にCPAが低くなり、最終的に自社の求めるCPAに近づけられるでしょう。
まずは限界CPAまで到達することを目標にして、それ以降は収益や広告の効率を考慮した上で目標CPAを定めて広告運用を行ってください。
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