目次
導入部
「会計システムを導入したいけれど、どんな仕組みで動いているのか分からない」「既存のシステムでは自社の業務に合わない」――そんな悩みを抱えている中小企業の経営者は少なくありません。
日々の取引データが散在し、月次決算に時間がかかる。経理担当者が休むと誰も対応できない。こうした課題は、会計システムの仕組みを正しく理解し、自社に合ったシステムを選ぶことで解決できます。
本記事では、会計システムの基本的な仕組みから業務フロー、主要な機能、選定のポイントまで、中小企業の経営者向けに分かりやすく解説します。
会計システムとは|基本を理解しよう
会計システムの定義と役割
会計システムとは、企業のお金の動きを記録・管理し、財務状況を可視化するITツールです。取引の仕訳入力から帳簿作成、決算書の作成まで、会計業務全般をデジタル化します。
主な役割は以下の4つです。
- 業務の効率化: 手入力や転記作業を削減し、処理時間を短縮
- 正確性の向上: 計算ミスや入力ミスを防ぎ、データの信頼性を確保
- リアルタイムな経営判断: 最新の財務状況をいつでも確認可能
- 法令遵守: 電子帳簿保存法やインボイス制度などへの対応をサポート
中小企業では限られた人員で経理業務を回す必要があるため、会計システムは経営の意思決定を支える重要なインフラと言えます。
財務会計と管理会計の違い
会計システムを選ぶ際は、財務会計と管理会計の違いを理解することが重要です。
財務会計は、株主や税務署など外部の利害関係者に報告するための会計です。決算書を作成し、企業の財務状況を正確に開示します。法律や会計基準に従った処理が求められます。
管理会計は、経営者や管理者が経営判断を行うための会計です。部門別損益、商品別収益性、予算実績比較など、社内の意思決定に必要な情報を提供します。法的義務はなく、自社に役立つ形で自由に設計できます。
多くのシステムは財務会計中心ですが、中小企業が本当に必要としているのは経営判断に使える管理会計機能であることも少なくありません。
Excel管理との違い
多くの中小企業が使っているExcelですが、会計システムとは根本的に異なります。
Excelの課題
- データが複数ファイルに散在し、手作業での集計・転記が必要
- 担当者独自の計算式や構造になり、属人化が進む
- リアルタイム性がなく、月次決算を締めるまで正確な数字が分からない
会計システムの強み
- 一度の入力で複数の帳簿に自動反映
- 標準化された業務フローで属人化を解消
- リアルタイムで財務状況を把握可能
- 法令対応が自動化
ただし、Excelが不要というわけではありません。会計の基幹業務はシステムで管理し、Excelは補助的な分析ツールとして使い分けることが重要です。
会計システムの仕組み|データの流れを理解する
取引から決算までの業務フロー
会計システムの基本的な流れは、**「取引発生→仕訳入力→帳簿作成→決算書作成」**の4ステップです。
1. 取引発生
商品の販売、経費の支払い、給与の支給など、企業活動で発生する取引が起点です。請求書、領収書、納品書などの証憑が発生します。
2. 仕訳入力
取引を「借方」と「貸方」に分けて記録します。例えば「現金で事務用品を購入」なら「消耗品費(借方)/ 現金(貸方)」という仕訳になります。
3. 帳簿作成
入力された仕訳データは、自動的に各種帳簿に反映されます。総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳など、複数の帳簿が同時に更新されます。
4. 決算書作成
帳簿データを集計し、貸借対照表や損益計算書などの決算書が自動作成されます。月次・四半期・年次など、必要なタイミングで最新の財務諸表を出力できます。
どこまで自動化できるかが会計システムの価値を左右します。理想的なシステムでは、取引データの取り込みから決算書作成までをほぼ自動化でき、人の手は最終チェックだけで済みます。
仕訳入力の自動化
仕訳入力は会計業務の中核であり、ここの効率化が全体の生産性を大きく左右します。
自動化の仕組み
- 銀行口座連携: 入出金データを自動取得し、勘定科目を推測して仕訳候補を作成
- クレジットカード連携: 法人カードの利用明細を自動取得し、経費の仕訳を自動生成
- OCR機能: 領収書をスマホで撮影すると、AIが日付・金額・取引先を読み取り仕訳データに変換
- 学習機能: 過去の仕訳パターンを学習し、同じ取引先や内容なら自動的に同じ勘定科目を提案
自動化のポイント
- 勘定科目の体系を整理する(科目が多すぎると精度が下がる)
- 連携できるサービスを確認する(自社が使う銀行やカードに対応しているか)
- 例外処理のルールを決める(自動化できない取引の処理方法を明確に)
- 定期的に見直す(自動仕訳の精度をチェックし、学習データを更新)
完全自動化は難しくても、入力作業の7〜8割を自動化できれば、経理担当者の負担は劇的に軽減されます。
帳簿への自動反映と集計
仕訳データが入力されると、会計システムは自動的に複数の帳簿にデータを反映します。この「一度の入力で複数の帳簿に自動反映される」仕組みが、システムの大きな強みです。
主要な帳簿
- 仕訳帳: すべての取引を日付順に記録
- 総勘定元帳: 勘定科目ごとに取引を集計
- 現金出納帳: 現金の入出金記録
- 預金出納帳: 銀行口座ごとの入出金記録
- 売掛帳・買掛帳: 取引先別の売掛金・買掛金管理
- 固定資産台帳: 固定資産の取得・減価償却管理
Excelでは別々のシートやファイルで管理し、手作業で転記する必要がありました。会計システムでは、一つの仕訳を入力すれば、関連するすべての帳簿に自動反映されます。
また、期間別、部門別、プロジェクト別、取引先別など、様々な切り口での集計も自動化されます。経営者が「先月の部門別利益を知りたい」と思ったとき、Excelなら数時間かかる集計が、システムなら数秒で完了します。
会計システムの基本機能
仕訳入力・伝票管理機能
仕訳入力機能は会計システムの最も基本的な機能です。
主な機能
- 振替伝票入力(借方・貸方を自由に設定)
- 入金伝票・出金伝票(現金の入出金に特化)
- 複合仕訳(一つの取引で複数の科目に振り分け)
- 仕訳辞書(よく使う仕訳パターンをワンクリック入力)
- 仕訳承認ワークフロー(入力者と承認者を分けてチェック体制を構築)
伝票管理機能では、入力した仕訳を検索・修正・削除できます。日付、勘定科目、金額、摘要などで検索し、入力ミスの修正や領収書のスキャンデータ添付が可能です。
中小企業が重視すべきは、複雑な機能よりも入力のしやすさと間違いにくさです。
帳簿作成・決算書の自動生成
入力された仕訳データから、各種帳簿と決算書を自動作成します。
作成できる主な財務諸表
- 貸借対照表(B/S):企業の財政状態
- 損益計算書(P/L):企業の経営成績
- キャッシュフロー計算書(C/F):現金の流れ
- 試算表:月次・四半期・年次の集計
- 部門別損益計算書:部門ごとの収益性分析
決算関連機能
- 決算整理仕訳(減価償却、引当金計上など)
- 前期比較・予算比較
- 勘定科目内訳書(税務申告用)
- 消費税申告書の自動作成
中小企業にとって重要なのは、年次決算だけでなく月次決算の早期化です。リアルタイムで損益を確認でき、前年同月との比較が簡単にできる機能が実務では重要です。
その他の便利機能
予算管理機能
- 年間予算の登録と配分
- 予算対実績の比較分析
- 予算差異の要因分析
外部連携機能
- 銀行口座・クレジットカード連携
- 請求書発行システムとの連携
- 給与計算システムとの連携
- POSレジ・ECサイトとの連携
権限管理・セキュリティ機能
- ユーザーごとの閲覧・編集権限設定
- 操作ログの記録
- データのバックアップ
- 二段階認証
「あれもこれも」と機能を求めると、システムが複雑になり使いこなせなくなります。自社の業務で本当に必要な機能だけを選ぶことが大切です。
会計システムの種類と選び方
クラウド型・オンプレミス型・パッケージ型の違い
会計システムは、導入形態によって大きく3つに分類されます。
クラウド型(SaaS型)
インターネット経由でシステムを利用する形態です。
- メリット:初期費用が安い、自動アップデート、場所を選ばずアクセス可能
- デメリット:カスタマイズに制限、自社の業務フローに合わないことがある
オンプレミス型
自社のサーバーにシステムを構築する形態です。
- メリット:自由にカスタマイズ可能、セキュリティを自社でコントロール
- デメリット:初期費用が高額(数百万円〜)、サーバーの管理・保守が必要
パッケージ型
既製のソフトウェアを購入し、自社のPCにインストールする形態です。
- メリット:買い切りで月額費用なし、小規模企業向けの安価な製品が多い
- デメリット:カスタマイズが困難、複数人での同時利用に制限
SaaS型が定着しない理由
近年、クラウド型(SaaS型)が主流ですが、すべての企業に適しているわけではありません。「SaaSを導入したが定着しなかった」という中小企業も少なくありません。
定着しない主な理由
- 自社の業務フローに合わない
- 標準機能しか使えず、独自の業務プロセスに対応できない
- 業界特有の商習慣に対応していない
- 操作が複雑で覚えられない
- 多機能すぎて必要な機能が見つからない
- 画面遷移が複雑で迷子になる
- サポート体制が不十分
- 問い合わせがメールやチャットのみ
- 「マニュアルを見てください」で終わる
- 長期的にコストが高い
- 月額費用が積み重なり、数年で高額に
- 使わない機能にも課金される
中小企業が押さえるべき選定ポイント
1. 自社の業務フローを可視化してから選ぶ
「有名だから」「安いから」という理由で選ぶと失敗します。まず現状の業務フローを図式化し、課題を明確にしてから、システムに求める要件を整理しましょう。
2. シンプルで使いやすい仕組みを優先
機能が多すぎるシステムほど定着しません。中小企業にとって理想的なのは、**「必要最小限の機能で、使いやすく、覚えやすいシステム」**です。
3. 導入後のサポート体制を重視
システム選びは「パートナー選び」です。導入前の業務整理から、導入後の運用改善まで、長期的に伴走してくれるパートナーを選びましょう。
良いパートナーの条件
- 会計業務の実務を理解している
- 専門用語を使わず分かりやすく説明
- 質問しやすい雰囲気
- 柔軟にカスタマイズ対応できる
- 導入後も継続的にサポート
リプレースを検討すべきタイミング
会計システムは一度導入すれば終わりではありません。業務の変化、法改正、システムの老朽化により、いずれは見直しが必要になります。
リプレースのサイン
以下の状況に3つ以上該当する場合、リプレースを検討すべきタイミングです。
システム・技術面の課題
- サポートが終了している、または終了予定
- 法改正への対応が困難
- システムの動作が遅い
業務・運用面の課題
- 特定の担当者しか操作できない(属人化)
- Excelでの補完作業が増えている
- 他システムとデータ連携できず、二重入力が発生
- リモートワークに対応できない
経営・コスト面の課題
- 保守費用が年々高額になっている
- リアルタイムで経営数値を確認できない
- 部門別・プロジェクト別の損益が把握しづらい
リプレース時の業務フロー見直し
リプレースは、現行の業務フローをそのまま新システムに移すのではなく、業務そのものを見直す機会として捉えましょう。
見直すべきポイント
- 承認フローの整理(承認段階は本当に必要か)
- 入力作業の削減(自動連携は可能か)
- 帳票・レポートの見直し(本当に必要な帳票だけを残す)
- 権限設定の明確化(誰が何を閲覧・編集できるか)
- 他システムとの連携(給与、販売管理、請求書発行システムなど)
データ移行とシステム切り替えの注意点
リプレースで最も失敗しやすいのが、データ移行とシステム切り替えです。
データ移行の注意点
- 移行範囲の決定(何年分のデータを移行するか)
- データクレンジング(重複データの統合、表記ゆれの修正)
- 移行テスト(金額の整合性チェック、残高の突合)
システム切り替えのタイミング
- 月初・期首:新しい期から新システムでスタート
- 決算後:決算処理が完了してから切り替え
- 閑散期:業務量が少ない時期に実施
1〜3ヶ月程度の並行稼働期間を設け、新旧両方のシステムで入力し、結果を比較して精度を確認することをおすすめします。
自社に合った会計システムならHarmonic Societyへ
「SaaSでは自社の業務に合わない」「パッケージでは柔軟性がない」「オンプレミスは高額すぎる」――そんな課題を抱えている中小企業に、Harmonic Societyは**「ちょうどいい会計システム」**を提供しています。
必要な機能だけを実装する「ちょうどいい仕組み」
Harmonic Societyの会計システム開発は、大手SaaSと高額なフルスクラッチの中間に位置します。
3つの特徴
- 必要な機能だけを実装
- 御社の業務に必要な機能だけを抽出
- 無駄な機能がなく、使いやすく、覚えやすい
- 短期間・低コストで実現
- AI活用により従来の開発費の1/3〜1/2
- 開発期間も1〜3週間〜2ヶ月程度
- 柔軟にカスタマイズ可能
- 業務変化に合わせて機能追加・変更
- 他システムとの連携も対応
こんな企業に最適です
- Excel管理から脱却したいが、SaaSでは機能が足りない
- 独自の業務フローがあり、標準システムでは対応できない
- 既存システムが古く、リプレースを検討している
- 属人化を解消し、誰でも使えるシステムにしたい
業務フローの整理から運用までワンストップ対応
Harmonic Societyの強みは、システム開発だけでなく、業務フローの整理から運用サポートまで一気通貫で対応できることです。
支援の流れ
- ヒアリング・業務分析(1〜2週間)
- 要件定義・設計(1〜2週間)
- 開発・テスト(1〜6週間)
- 導入・レクチャー(1週間)
- 運用サポート(継続)
導入後も、操作方法の質問対応、トラブル時のサポート、継続的な改善提案・機能追加など、長期的に伴走するパートナーとして、御社の業務効率化を支援します。
まずはお気軽にご相談ください
会計システムのリプレースや新規導入を検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。
相談は無料です
- 現状の課題をお聞かせください
- 最適な解決策を一緒に考えます
- 無理な営業は一切いたしません
お問い合わせ方法
Harmonic Society公式サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
https://harmonic-society.co.jp/contact/
まとめ
会計システムは、単なる「帳簿をつけるツール」ではなく、経営判断を支える重要な基盤です。
重要なポイント
- 会計システムは「取引発生→仕訳入力→帳簿作成→決算書作成」という流れで動く
- 自社の業務フローを可視化してからシステムを選ぶ
- 機能過多より「シンプルで使いやすい」が定着の鍵
- 導入後のサポート体制も重視する
- システム選びではなく、パートナー選びが成功の分かれ道
中小企業にとって、「ちょうどいいシステム」を「信頼できるパートナー」と一緒に作ることが、デジタル化成功の近道です。
Harmonic Societyは、テクノロジーと人間性の調和を大切にし、御社の業務に寄り添った「ちょうどいい仕組み」を提供します。会計システムでお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
