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社内の業務を効率化したい、Excel管理の限界を感じている、属人化した業務フローを改善したい――。こうした課題を抱える中小企業の担当者にとって、社内システムの開発は大きな転換点となります。
しかし実際には、「どの会社に外注すればいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」「失敗しないためにはどうすればいいのか」と、不安や疑問を感じている方も多いでしょう。
適切なパートナーを選べば、短期間で使いやすいシステムが手に入り、業務の生産性は飛躍的に向上します。一方で、選び方を誤ると、高額な費用をかけたのに使われないシステムができてしまうリスクもあります。
本記事では、社内システム開発を外注する際に知っておくべき基礎知識から、失敗しない外注先の選び方、費用相場までを徹底解説します。中小企業の担当者が安心して外注先を選べるよう、実践的なポイントをわかりやすくお伝えします。
社内システム開発の基礎知識
社内システムとは何か
社内システムとは、企業の日常業務を効率化・自動化するために開発される、社内専用の業務システムです。市販のパッケージソフトやSaaSとは異なり、自社の業務フローや独自のルールに合わせてカスタマイズできる点が特徴です。
具体的には、以下のような業務で活用されています。
- 顧客管理(CRM): 顧客情報、商談履歴、対応記録の一元管理
- 案件管理: プロジェクトの進捗、タスク、担当者の可視化
- 在庫管理: 商品の入出庫、在庫数のリアルタイム把握
- 勤怠管理: 出退勤記録、休暇申請、残業時間の集計
- 見積・請求管理: 見積書・請求書の作成から送付、入金管理
- 予約管理: 顧客からの予約受付、スケジュール調整
これらのシステムは、それぞれの企業が抱える課題や業務の特性に応じて設計されるため、「自社にちょうどいい」機能だけを持ったシステムを構築できます。
内製と外注の判断基準
社内システムを開発する方法は、大きく分けて「内製(自社開発)」と「外注(外部委託)」の2つがあります。
内製のメリット・デメリット
メリット
- 社内の業務を熟知しているため、要件定義がスムーズ
- 開発後の細かい調整や改修を迅速に対応できる
デメリット
- 開発できる人材の確保が困難(採用コスト、育成期間)
- 開発期間が長期化しやすい
- 属人化のリスク(担当者が退職すると保守が困難に)
- セキュリティや保守の体制構築が必要
外注のメリット・デメリット
メリット
- 専門知識と豊富な経験を持つプロに任せられる
- 開発期間を大幅に短縮できる
- 最新技術やセキュリティ対策を適用できる
- 開発後の保守・サポートを依頼できる
デメリット
- 初期費用がかかる
- 外注先とのコミュニケーションコストが発生
- 外注先選びを誤ると失敗のリスクがある
中小企業の場合、IT人材の採用や育成にかかるコストと時間を考えると、専門性の高い外注先に依頼する方が、結果的にコストパフォーマンスが高いケースが多いのが実情です。
外注を検討すべきタイミング
以下のような状況が当てはまる場合、外注を検討すべきタイミングです。
Excel管理が限界を迎えたとき
- ファイルが複数に分散し、どれが最新版かわからない
- データ量が増えて動作が重くなってきた
- 関数やマクロが複雑化し、メンテナンスができない
属人化が深刻になったとき
- 特定の社員しか業務の進め方を理解していない
- 担当者が休むと業務が止まってしまう
業務量が増加し、手作業に限界を感じたとき
- 同じ作業を何度も繰り返している
- 転記ミスや入力ミスが頻発している
SaaSやパッケージソフトでは対応できないとき
- 自社独自の業務ルールに合わない
- 必要な機能が不足している、または不要な機能が多すぎる
よくある失敗パターン
社内システムの導入は、適切に進めれば大きな効果を生みますが、準備不足や判断ミスによって失敗するケースも少なくありません。
要件定義が曖昧なまま発注
「とりあえず顧客管理システムを作りたい」といった漠然とした依頼では、完成したシステムが期待と異なる可能性が高くなります。現状の業務フローを整理し、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行うのかを明確にすることが重要です。
安さだけで外注先を選ぶ
「とにかく安く」という基準だけで外注先を選ぶと、開発後のサポートがない、追加費用が次々と発生する、納期が大幅に遅れるといった問題が生じることがあります。
現場の意見を聞かずに導入
経営層や管理部門だけで判断し、実際に使う現場の声を反映しないと、「使いにくい」「かえって手間が増えた」と不満が噴出します。システムを実際に使う現場の担当者にヒアリングし、要望や課題を吸い上げることが成功の鍵です。
運用・保守を考えていなかった
システムは導入して終わりではありません。運用中に発生する不具合対応、機能追加、法改正への対応など、継続的なメンテナンスが必要です。
外注先の種類と選び方
外注先の種類と特徴
社内システムの開発を外注する際、選択肢はさまざまです。それぞれの特徴を理解し、自社の規模や予算、求めるサポートレベルに合った外注先を選ぶことが重要です。
大手SIer
特徴
- 大規模システムの開発実績が豊富
- 多数のエンジニアを抱え、プロジェクト管理体制が整っている
- 費用が高額(数百万円〜数千万円規模)
向いている企業: 大企業、予算が潤沢にある企業、大規模システムを構築したい企業
中小開発会社
特徴
- 中小企業向けの案件を得意とする
- 柔軟な対応と迅速な意思決定が可能
- 費用が比較的リーズナブル(数十万円〜数百万円)
向いている企業: 中小企業、予算を抑えたい企業、柔軟な対応を求める企業
フリーランスエンジニア
特徴
- 個人のエンジニアに直接依頼
- 費用を大幅に抑えられる(10万円〜100万円)
- 個人のスキルに依存し、サポート体制が不十分になりがち
向いている企業: 非常に小規模なシステム、既に要件が明確で技術的な知識がある担当者がいる企業
ノーコード・ローコード開発会社
特徴
- プログラミング知識がなくても画面操作だけでシステムを構築できるツールを活用
- 開発期間を大幅に短縮できる(数週間〜1ヶ月程度)
- 費用は30万円〜200万円程度
向いている企業: シンプルな業務システムを素早く導入したい企業、初期費用を抑えたい企業
外注先タイプ別比較表
| 外注先タイプ | 費用相場 | 開発期間 | 向いている企業規模 | サポート体制 |
|---|---|---|---|---|
| 大手SIer | 500万円〜 | 6ヶ月〜 | 大企業 | ◎ |
| 中小開発会社 | 50万円〜500万円 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 中小企業 | ◯〜◎ |
| フリーランス | 10万円〜100万円 | 数週間〜2ヶ月 | 小規模企業 | △ |
| ノーコード特化 | 30万円〜200万円 | 1週間〜1ヶ月 | 中小企業 | ◯ |
中小企業に最適な選択肢は、中小開発会社またはノーコード・ローコード特化の会社です。特に、AI活用などの最新技術で開発期間とコストを削減できる企業は、中小企業にとって理想的なパートナーと言えます。
失敗しない外注先選びのチェックポイント
1. 自社の業務を理解しようとする姿勢
優れた開発会社は、いきなり「何を作りますか?」とは聞きません。まず、「どんな課題を抱えていますか?」「現在の業務フローはどうなっていますか?」と丁寧にヒアリングしてくれます。
初回の打ち合わせで、以下のような質問をしてくれるかを確認しましょう。
- 「現在の業務で一番困っていることは何ですか?」
- 「誰がどのような作業をしていますか?」
- 「現場の担当者からはどんな声が上がっていますか?」
2. 過去の実績と得意分野
外注先の実績は、その会社の技術力と信頼性を測る重要な指標です。
確認すべきポイント
- 同じ業界・業種の実績があるか
- 中小企業向けの実績があるか
- 具体的な導入事例を見せてもらえるか
- 得意分野とマッチしているか
3. 開発後の保守・サポート体制
システムは「作って終わり」ではありません。運用開始後の保守・サポートが、長期的な成功を左右します。
見積もり時に以下を質問しましょう。
- 「開発後のサポートはどこまで含まれていますか?」
- 「不具合が発生した場合、どのくらいで対応してもらえますか?」
- 「機能追加は別料金ですか? その場合の費用感は?」
4. 費用の透明性とコミュニケーションの質
見積もりの内訳が明確か、追加費用の発生条件が明確か、支払いスケジュールが明示されているかを確認しましょう。
また、レスポンスの速さ、説明のわかりやすさ、相談のしやすさなど、コミュニケーションの質も重要です。
5. 柔軟な対応力と提案力
開発途中での仕様変更への対応、段階的な開発が可能か、複数の選択肢を提示してくれるかを確認しましょう。
単に「言われたものを作る」だけでなく、より良い解決策を提案してくれる会社を選びましょう。
費用相場と予算の考え方
システム開発の費用が決まる要素
社内システム開発の費用は、主に以下の要素で決まります。
開発工数(人月)
開発に必要な作業量を「人月」という単位で計算します。1人月は、エンジニア1人が1ヶ月フルタイムで作業する量を指します。
機能の数と複雑さ
機能が多いほど、また複雑な処理が必要なほど、開発工数が増えて費用が上がります。
デザインのカスタマイズ度
シンプルなデザインなら費用を抑えられますが、独自性の高いデザインを求めると費用が上がります。
連携するシステムの数
既存の他システムとデータ連携する場合、その分の開発工数が必要になります。
規模別・機能別の費用相場
小規模システム(50万円〜150万円)
- シンプルな顧客管理システム
- 基本的な案件管理システム
- 予約管理システム
中規模システム(150万円〜500万円)
- 複数機能を統合したシステム(顧客管理+案件管理+見積作成)
- 既存システムとの連携機能付き
- スマホアプリ対応
大規模システム(500万円〜)
- 全社的な基幹システム
- 複雑な業務フローの自動化
- 高度なセキュリティ要件
予算を抑えるための工夫
優先順位をつけて段階的に開発
すべての機能を一度に開発するのではなく、まず最小限の機能でリリースし、後から機能を追加していく方式(MVP開発)を検討しましょう。
既存ツールの活用
ゼロから開発するのではなく、ノーコード・ローコードツールを活用することで、開発期間と費用を大幅に削減できます。
AI活用による開発効率化
AI技術を活用した開発プロセスにより、従来の開発費の1/3〜1/2程度でのシステム構築が可能になってきています。
安さだけで選ぶと失敗する理由
極端に安い見積もりには、以下のようなリスクが潜んでいます。
- 開発後のサポートが含まれていない
- テストや品質管理が不十分
- 追加費用が後から次々と発生
- 納期遅延のリスクが高い
費用だけでなく、実績、サポート体制、コミュニケーションの質を総合的に評価することが大切です。
外注前に準備すべきこと
現状の業務フローを可視化する
まずは、今の業務がどのように行われているかを整理しましょう。システム化する前に現状を把握することで、本当に必要な機能が見えてきます。
業務フローの可視化方法
- 業務の流れを書き出す(紙やホワイトボード、PowerPointなどを使用)
- 各工程で使っているツールを記録
- 困っている点を洗い出す
- 現場の声を集める
完璧を目指す必要はありません。まずは大まかな流れを把握することが大切です。
システム化の範囲と優先順位を決める
業務フローが見えてきたら、次は「どこをシステム化するか」を決めます。すべてを一度にシステム化しようとすると、費用も時間もかかり、失敗のリスクも高まります。
優先順位の決め方
以下の観点で各業務を評価してみましょう。
- 頻度: 毎日行う作業か、月に数回か
- 時間: その作業にどのくらい時間がかかっているか
- 人数: 何人が関わっているか
- ミスの影響: ミスが起きたときの影響の大きさ
そして、優先度A(必須)、優先度B(推奨)、優先度C(検討)の3段階で優先順位をつけましょう。
社内の関係者を巻き込む
システム開発は、担当者だけで進めると失敗しやすくなります。実際に使う現場の社員、経営層、関係部署を巻き込むことが重要です。
効果的な巻き込み方
- 小規模でもプロジェクトチームを作る
- 定期的な情報共有の場を設ける(週1回または隔週で30分程度)
- 「何のためにやるのか」を共有する
- 不安や抵抗感に寄り添う
要件定義で伝えるべきポイント
外注先との打ち合わせで、何を伝えればいいかを整理しておきましょう。ITの専門用語を使う必要はありません。普段の言葉で、業務の実態を伝えることが大切です。
伝えるべき基本情報
- 会社の基本情報(業種、従業員数、対象業務の担当者数)
- システム化の目的(何を解決したいのか、どんな状態を目指しているのか)
- 現状の業務フロー
- 誰が使うのか
- 必要な機能
- 予算と期間
- 運用後のサポート
具体例を使い、現物(今使っているExcelシートなど)を見せることで、外注先も正確に理解できます。
スムーズな運用のためのポイント
開発中のコミュニケーション
システム開発は、外注先に丸投げするのではなく、一緒に作り上げていくという姿勢が大切です。
定期的な進捗確認
- 週1回または隔週で30分〜1時間程度のミーティングを設定
- 連絡手段を明確にする(メール、チャット、ビデオ会議)
- レスポンスのルールを決める
途中経過の確認
- プロトタイプやデモを見せてもらう
- 気になることはすぐに伝える
- 仕様変更が必要になったら、理由と影響を確認する
テスト・検証の重要性
開発が完了したら、実際に使ってみて問題がないか確認する「テスト」が重要です。
テストの種類
- 機能テスト: 各機能が正しく動くか
- 操作性テスト: 使いやすいか
- 実務テスト: 実際の業務フローに沿って一連の作業ができるか
- 複数人でのテスト: 同時に複数人が使っても問題ないか
問題を見つけたら、「何をしたか」「何が起きたか」「期待していた動作」「スクリーンショット」を外注先に伝えましょう。
社内への導入・定着
システムが完成しても、社内で使われなければ意味がありません。
操作研修を実施
- 本格運用の1〜2週間前に実施
- よく使う機能から教える
- 少人数(5〜10人程度)で実施
- 研修の様子を録画しておく
マニュアルを整備
- ログイン方法
- 基本的な操作方法(スクリーンショット付き)
- FAQ(よくある質問)
- 困ったときの連絡先
段階的に導入
いきなり全社で使い始めるのではなく、一部のチームで試験運用してから全社に展開する方法も効果的です。
使い続けてもらうための工夫
- 成功事例を共有する
- フィードバックを聞く
- サポート体制を整える
- 古いやり方(Excelなど)を残さない
運用開始後のサポート活用
システムは「作って終わり」ではありません。運用開始後も、外注先のサポートを活用して、継続的に改善していきましょう。
サポートの種類
- 不具合対応
- 操作方法の質問
- 機能追加・改善の相談
- 定期メンテナンス
月1回または四半期に1回、外注先と振り返りのミーティングを実施し、小さな改善を積み重ねることで、使いやすいシステムを作り上げていきます。
Harmonic Societyの強み
中小企業に「ちょうどいい」システム
Harmonic Societyの最大の特徴は、「ちょうどいい」システムを一緒に考えるスタイルです。
多くのシステム開発会社は、大企業向けの大規模システムか、個人事業主向けの簡易的なツールのどちらかに特化しています。しかし、中小企業が本当に必要としているのは、その中間の「ちょうどいい」システムです。
Harmonic Societyの「ちょうどいい」
- 機能: 必要な機能だけを厳選。無駄な機能で複雑にしない
- 価格: 中小企業でも導入しやすい価格設定
- 期間: 最短1〜3週間からスタート可能
- 規模: 5〜50名程度の企業に最適
AI活用による高速・低コスト開発
すべての開発プロセスにAIを活用することで、従来の開発費の1/3〜1/2程度、開発期間を1/10に短縮できます。
これにより、中小企業でも手の届く価格で、短期間に必要なシステムを導入できます。
導入後も伴走する継続支援
操作レクチャー、改善提案、小さな改修、保守管理まで、運用フェーズもしっかりサポートします。
システムは「作って終わり」ではなく、使いながら改善していくものです。長期的なパートナーとして、お客様のビジネスの成長を全力でサポートします。
ITが苦手でも安心
「ITに詳しくないから不安」という方でも安心です。専門用語を使わず、わかりやすく説明し、お客様のペースに合わせて進めていきます。
業務フローをしっかりヒアリングし、本当に必要な機能を一緒に考えることで、現場で使われるシステムを実現します。
まとめ
社内システムの開発を外注する際は、以下のポイントを押さえることが成功の鍵です。
- 自社の業務フローを可視化し、課題を明確にする
- 優先順位をつけて段階的に開発する
- 実績とサポート体制を重視して外注先を選ぶ
- 現場を巻き込み、一緒にシステムを作り上げる
- 運用開始後も継続的に改善する
中小企業には、大きすぎず小さすぎない「ちょうどいい」システムが必要です。適切なパートナーを選び、業務の効率化と社員の働きやすさを実現しましょう。
Harmonic Societyは、千葉県を中心に中小企業の社内システム開発を支援しています。AI活用による高速・低コスト開発、導入後の伴走支援で、お客様のビジネスの成長をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
