CI(コーポレート・アイデンティティ)とVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、言葉の響きこそ似ているものの、意味や役割が異なります。両者の違いを具体的に理解すると、自社のブランディングが効率的に進むようになり、マーケティング戦略の成功率も高まるでしょう。
本記事では、はじめにCIとVIの概要から解説します。次にCIとVIの違いについて具体的に紹介しますので、マーケターや経営者の方も段階的に理解できます。CIとVIを自社のマーケティング戦略に生かせるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
CIとは「企業の個性や特徴」である
CIとは、Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)の略称で、企業のアイデンティティを意味します。
アイデンティティとは、「個性」「存在証明」「その人らしさ」といった意味で訳される英単語ですが、マーケティング分野では「その企業らしさ」「企業の個性や特徴」と、捉えてよいでしょう。
CIを設定すると、自社の個性や特徴を企業の内外に具体的に示せるようになります。その結果、自社の認知拡大や企業イメージの向上といったブランディングも効率的に進むのです。
ブランディングは、取引先や株主といったビジネスパートナーだけに効果があるわけではありません。自社が提供する商品やサービスの顧客層はもちろん、自社で働く社員にも効果があります。
CIを設定することで、市場や業界における自社の存在感を高めることができるのです。CIを設定するメリットについては、「CIを設定するメリットを知るとVIとの違いがわかる」でより詳しく解説します。
VIとは「企業らしさを見た目で表現するもの」である
VIとは、VIsual Identity(ビジュアル・アイデンティティ)の略称で、企業のビジュアル(見た目)に関する項目を指します。企業のロゴマーク、カラー、フォント、イメージ写真、カラースキームといったデザイン全般がVIに該当します。
VIも企業のマーケティング戦略において重要な要素です。
なぜならVIは、人間の視覚に対して、自社のロゴマークやカラーなどのデザインを訴えられるからです。文章は読み手に読んでもらわなければいけませんが、映像であれば、それを見た相手に短時間で訴求できます。
VIを効果的に活用している例として、Apple社が挙げられるでしょう。スマートフォン、PC、アップルウォッチなどあらゆる製品にリンゴマークがついており、どれも特徴的なデザインになっていますよね。
製品にリンゴマークがついているだけで、「Apple社」と認識できる方も多いと思います。このように、デザインがブランディングにあたえる影響は大きく、自社のブランドを確立するためにVIが非常に効果的なのです。
CIの構成要素を知るとVIとの違いがわかる
VI(ビジュアル アイデンティティ)は、CI(コーポレート アイデンティティ)を設定するために必要な構成要素です。
繰り返しになりますが、CIとは企業の個性や特徴を表した言葉です。個性や特徴といったあいまいな概念を企業の内外に示すために、以下の要素が必要と考えられています。
- MI(マインド・アイデンティティ):企業の理念や哲学、価値観といった「企業の基盤」となる概念
- BI(ビヘイビア・アイデンティティ):企業の行動や計画、文化といった「企業の基盤をもとに行われる具体的な行動」
- VI(ビジュアル・アイデンティティ):MIやBIをビジュアルで表現したもの
CIを設定して、自社の個性や特徴を幅広いターゲットに知ってもらうには、MIとBIだけでは不十分です。
仮に企業の理念や価値観をもとにサービスや商品を生み出しても、それを消費者に選んでもらうためには、最初に認知してもらう必要がありますよね。
そこで、VIを用いることで、アプローチしたい相手に向けて、よりわかりやすく目立つ形で自社の特徴を伝えられるわけです。
CIを設定するメリットを知るとVIとの違いがわかる
[st-slidebox webicon=”” text=”+ CIを設定するメリットは以下の3点です。” myclass=”” bgcolor=”” color=”#1a1a1a” margin_bottom=”20″]
- 企業の認知度の向上
- 企業イメージの向上
- 社員の結束力を高める
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企業の認知度の向上
CIを設定して自社のアイデンティティを発信できれば、自社の顧客層や取引のある企業・株主に対して自社の認知度向上が期待できます。
例えば、自社の運営理念をロゴマークやイメージカラーに反映させれば、それを見た顧客の認知も進むでしょう。提供する商品やサービスを通して自社の存在が広がることもあります。
社員の結束力を高める
CIは、自社のアイデンティティ(その企業らしさ)を具体化したものです。自社のアイデンティティを働く社員が理解し共有すれば、自然に社員同士の結束力も高まるでしょう。
社員同士の結束力が高まれば、働く社員からの愛着度も自然に高まるはず。そうなれば、社員一人ひとりのパフォーマンスは向上し各部門の業績アップも期待できるのです。
企業イメージの向上
自社が提供する商品やサービスの認知度が向上することで、提供元である企業のイメージ向上につながります。
企業イメージが向上すれば、より多くの一般層に知ってもらえるようになるでしょう。その結果、就活生からの応募が増加するといった恩恵も受けられるのです。
VIがCIの設定に役立つ2つの理由
VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、CI(コーポレート・アイデンティティ)に役立つ理由が2つあります。それぞれの理由を知って、CIとVIの違いについての理解を深めましょう。
企業のアイデンティティをわかりやすく伝えられるから
VIを活用すると、企業のアイデンティティをわかりやすく伝えられるため、CIに大きく役立ちます。
繰り返しになりますが、企業のロゴマーク、カラーといったビジュアルは、見た人の視覚に直接はたらきかけるため、わかりやすく訴求できるのです。
実際に、企業のロゴマーク、カラー、フォント、イメージ写真、カラースキームを作成するグラフィックデザイナーなどは、企業のVIを作成する際に、その企業の特徴や個性をまとめてデザインに反映させていると考えられています。
もちろん、文章はデザインにはない訴求効果もありますが、VIによって企業のアイデンティティはいち早く進むのです。
競合他社と差別化できるから
VIによって企業のイメージを商品やサービスに反映させることで、競合他社との差別化が進みます。
競合他社は、同じ業界で似たような商品やサービスを提供する存在です。ロゴマーク、カラーなど視覚でわかる内容で差別化を図らないと、他社との違いが明確にならないおそれがあります。
ターゲット層に自社の存在が認知されないと、思うような成果を出せない可能性も高くなってしまうでしょう。
CIとVIの違いを理解して効果的なブランディングを
CI(コーポレート・アイデンティティ)とは、企業の個性や特徴を捉えた自社のアイデンティティ。
一方のVI(ビジュアル・アイデンティティ)とは、企業のアイデンティティを視覚面から捉えたものであり、CIの構成要素の1つです。
CIには、企業の認知度やイメージの向上といったメリットがあります。そして、VIはCIの設定に役立つ構成要素。
CIとVIの違いに気をつけて、より効果的なブランディングを実現して、自社の売上拡大を目指してください。
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