取材に慣れていなくても大丈夫!伝えたいメッセージと期待する行動につなげる取材術と原稿作成のコツ

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取材なんてほとんどしたことがないのに、新商品のアピール記事を書いてと頼まれた」「サービスユーザーの声をレポートにまとめろと言われたけれど、どう進めればいいのか分からない」――このような状況に陥っていませんか?

取材・広報の仕事を長年続けてきた筆者が、経験を踏まえて、伝えたいメッセージをユーザーに正しく伝え、期待するアクション(購入・問い合わせ・参加など)を起こしてもらうための取材術をまとめます。インタビュー経験が浅い方でも、この記事を読めば基本的な流れがつかめるでしょう。

目次

情報発信の3つの目的を明確にする

取材をして得た情報を記事化し発信するとき、最初に考えるべきは「誰に何を伝え、その結果、相手に何をしてほしいか」という点です。これが取材・原稿制作のゴールとなります。

ここでは、主な3つの目的パターンを紹介します。

  1. 商品・サービスの魅力を広めたい
  2. 商品・サービスとともにブランド理念を伝えたい
  3. 社会的なテーマを発信したい

1. 商品・サービスの魅力を広めたい

「価格は据え置きで内容量UP」「〇〇数が業界No.1」など、明確な特徴がある商品・サービスの場合は、それを見込み客に伝えて購入・契約へ誘導することが目的になります。

例えば、新発売の栄養ドリンクや最新ガジェットの性能を伝えるなら、「他社製品との比較」や「スペックを数字で示す」など、客観的な強みを取材で聞き出し、記事化します。抽象的な魅力(デザインの良さ・おいしさ)をアピールする際には工夫が必要で、この後具体例を考えます。

2. 商品・サービスとブランドの理念を発信したい

機能面での差別化が難しくなった今、多くの消費者は「ブランドパーパス(理念や思想)」に共感して商品を選ぶようになってきました。特に若い世代は、企業の姿勢・社会貢献などを気にする傾向が強いです。

ブランドパーパスに共感する人は、少し高くてもそのブランドを選んだり、定期的に情報を追いかけたりします。取材では、商品自体の性能以外に、ブランドが目指す未来や社会への貢献を関係者から聞き出すことがポイント。これにより、購買行動だけでなくファンコミュニティへの参加など、長期的な関係を築ける可能性が高まります。

3. 社会的テーマを発信したい

新聞記事や社会問題を扱うコンテンツでは、「誰に」「何を」「何をしてほしいのか」が明確でない場合も多いです。「飲酒運転を根絶したい」「選挙に若者が参加するようになってほしい」などのテーマでは、まずは「知ってほしい」という意図が強く、行動は読者に委ねられます。

こうした場合でも、取材相手や記事内容次第で読者が「寄付」「署名」「イベント参加」など、何らかの行動を起こすきっかけを作れるかもしれません。ターゲットと期待するアクションを意識しながら、取材相手を決め、インタビューで引き出す情報を検討すると良いでしょう。

説得力のある取材内容を引き出すには

数値データや論理的な裏付けはもちろんですが、人を動かすのは最終的には「人の言葉」です。記名で顔を出して発信する人の言葉は、その分野の専門家、権威ある人物、あるいは実際に商品・サービスを使って満足している顧客の声などが効果的。信頼できる発言を記事に盛り込むことで、読者の納得感が一気に増します。

ソーシャルなテーマでは「なぜ」が鍵

特に社会問題を扱う場合、誰に何を、という軸が曖昧なケースが多いです。そのため、「なぜこの課題が重要なのか」を明確に示すことが重要。取材では、その道の専門家や活動家、当事者に「なぜ取り組んでいるのか」「なぜこの問題を解決すべきなのか」を問い、読者が問題の本質を理解できるような言葉を引き出しましょう。

商品・サービスをアピールする際の工夫

商品・サービスをアピールする際、特に数値で示せない抽象的な魅力(美味しさ、デザイン性、使い勝手の良さ)を強調するにはどうすればいいのでしょうか?

  1. 権威づけ:NHK、新聞などの報道実績や、有名専門家の推薦、ユーザーインタビューでの満足度を示し、第三者の評価を活用。
  2. ストーリーテリング:開発者への取材で「なぜ」この商品を作ったか、その背景や困難を知ることで読者の共感度アップ。
  3. 比較対象の提示:他社製品や従来品より何が優れているのか、使いやすいかなど、身近な事例を挙げて視覚的にわかりやすく伝える。

こうした工夫によって、単なる「いい商品です」という文言に説得力が生まれ、読者が行動を起こす可能性が高まります。

取材先を決め、依頼する方法

期待する行動につなげるためにふさわしい相手に取材することが重要です。社内の営業や開発担当者からユーザーまで、誰に話を聞けば効果的なメッセージが得られるかを考えます。

ツテを生かす

有名人や専門家へ取材を依頼するなら、業界内のツテを活用しましょう。自社製品のユーザーへのインタビューなら、営業担当が仲介役になってもらうことも可能です。

取材依頼書(企画書)の作成

相手が企業・団体、著名人なら、取材依頼書があるとスムーズです。A4で1~2枚程度に以下をまとめます。

  • 媒体の紹介
  • 掲載予定の時期、希望する取材時期
  • インタビュー形式(対面・オンライン)、所要時間
  • 記事の目的・テーマ・狙い
  • 想定質問
  • 謝礼の有無・金額

明確な企画意図を伝えることで、相手も準備しやすくなります。

想定質問を送る

事前に想定質問を相手に共有すれば、回答を用意してもらえ、取材がスムーズになります。取材慣れしていない相手の緊張を和らげる効果もあります。

取材当日の工夫

想定質問をベースに進めるだけでなく、相手の回答に合いの手を入れたり、ツッコミを入れたりして、より深い情報を引き出す工夫をしましょう。回答が表面的な場合は追加質問で掘り下げ、本音や裏話、真の魅力を出してもらいます。

また、取材終了直後、録音停止後にリラックスした相手からさらにオフレコ気味の話が引き出せるケースも。記録をとるかどうかは判断が必要ですが、このタイミングでの雑談が参考になることもあります。

原稿作成:期待するアクションを意識

取材で得た情報を踏まえ、期待する行動につながるように原稿を組み立てます。5W1H(when, where, who, what, how, why)のうち、何を軸にして読者を動かすのかを明確にしましょう。

  • 商品・サービス紹介の場合:「what」を軸に、「how(どう)」「why(なぜこの特徴が重要か)」も補足
  • ソーシャルなテーマの場合:「why(なぜ)」が主軸。なぜこの課題が重要で、なぜ知ってほしいのかを前面に出す

期待するアクションが明確であれば、最後に明確なCTA(行動喚起)を配置することも可能です。

インタビュー・原稿作成を外注する選択肢

忙しい中、取材準備やインタビュー、原稿制作までを自社で全て行うのが難しい場合、外注を検討しても良いでしょう。

外注先は、記事執筆・取材アレンジを一括で行うサービス、あるいは一部のみを請け負うサービスなど多様です。ノウハウのない状態で全て独力で行うよりも、外部プロの知見を活用して短期間で成果を出す方が効率的なことも多いです。

まとめ:期待する行動へ導くための取材・原稿づくり

取材は「ただ話を聞けばいい」わけではありません。最初に「誰に」「何を伝え」「どんな行動をしてほしいか」を定め、取材相手や質問内容を戦略的に決めることが成功の鍵です。

  • 期待するアクションに合わせたターゲットと情報設計
  • 想定質問や取材依頼書を用意し、スムーズなインタビュー
  • 合いの手や追加質問で本音・深い情報を引き出す
  • 得た情報を原稿化し、読者に行動を起こさせる構成を整える

これらのプロセスを積み重ねることで、初心者でも効果的な記事制作が可能です。

Harmonic Society株式会社では、取材のアレンジ・インタビュー対応・原稿作成まで、伴走型でサポートしています。広報業務にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

師田 賢人のアバター 師田 賢人 代表取締役

Harmonic Society株式会社 代表取締役。一橋大学(商学部)卒業後、Accenture Japanに入社。ITコンサルタントとして働いた後、スタートアップ企業にWebエンジニアとして転職。2016年に独立したのち、Webライターとして100社以上と取引。経営者や著名人、大学教授ら200名以上に取材、執筆に従事する。2023年3月にHarmonic Society株式会社を設立し、経営者をはじめさまざまな事業者へ取材・撮影をして記事を制作している。

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