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NPSとは?“満足”の先にある未来行動を測る指標
NPS(Net Promoter Score)は、顧客に「この商品/サービス(または企業)を友人や同僚にどの程度すすめたいですか?」を0〜10点で回答してもらい、ロイヤリティ(推奨意向)を数値化する指標です。
- 推奨者(9–10)
- 中立者(7–8)
- 批判者(0–6)
NPS=推奨者比率(%)− 批判者比率(%)(−100〜+100)。プラスが大きいほど「クチコミ拡散・再購買・紹介」の潜在力が高いと解釈できます。
CSAT/CXとの違い
CSATが「今の満足度」を測るのに対し、**NPSは“他者へすすめる未来行動”**を問います。満足は高いのに推奨は低い=“自分は使うが他者に薦めるほどではない”というギャップを可視化できます。
NRS(継続意向)との補完関係
NRSは「自分が使い続けたいか」を測る5段階評価。
- NRS=継続・解約の予兆
- NPS=紹介・口コミの推進力
両指標を併用すると、LTVと新規流入の両輪を一枚の絵で運用できます。
なぜ“今”NPSなのか:生成AI時代のロイヤリティ運用
生成AIの実装で、NPSは集めるだけの数字から収益に直結する運用資産へ。
生成AIでできること
- 自由回答の自動要約・分類(感情/テーマ/原因)
- 離反確率・紹介発生確率の予測(NPS×行動ログ×顧客属性)
- パーソナライズ施策の自動生成(役職・業界別のCTA/本文)
- クローズドループの自動化(批判者には即フォロー、推奨者にはレビュー・紹介依頼)
MA・CRM・CDPとの連携
NPSをトリガーに、メール/アプリ内メッセージ/広告オーディエンスを自動切替。推奨者は紹介プログラムへ、批判者は体験改善の個別フォローへとつなげます。
NPSの算出方法と読み解き方
ステップ
- 0–10点の推奨意向を回収
- 3セグメントに分類
- **推奨者% − 批判者%**で算出
例:100件中 推奨40/中立40/批判20 → NPS=40−20=+20。
読み方のコツ
- 絶対値だけでなく**推移(トレンド)**を見る
- 分布(9–10の厚み、0–2の極端値)を確認
- セグメント別NPS(製品、チャネル、地域、役職)でボトルネックを特定
調査設計のベストプラクティス
質問セット
- 必須:推奨意向(0–10)+理由の自由記述
- 推奨:NRS(継続意向)、利用頻度、利用シナリオ、接点(購入/サポート後など)
サンプリングとタイミング
- トランザクションNPS:体験直後(購入・導入・サポート後)
- リレーションNPS:四半期/半期ごとに“関係性”を定点観測
偏りを避けるため、母集団・回収率・回答デバイスを管理。
バイアス対策
- 招待文は中立的に、過度なインセンティブは避ける
- 尺度説明を明確に(0=全くすすめない/10=強くすすめたい)
- 日本市場は中立点に寄りやすい傾向があるため、**相対比較(過去・セグメント・競合)**を重視
法令・プライバシー
- メール配信はオプトイン・オプトアウト導線を明記
- 取得目的・保持期間・共同利用をプライバシーポリシーに明示
- 個人情報は匿名化/最小化し、ダッシュボードは権限管理を徹底
NPSを売上に変える5つの打ち手
1. クローズドループ(即時フォロー)
批判者には24–72時間以内に原因を確認→代替案・返金条件・再体験の提案。AIが謝罪/提案文を下書きし、担当が最終確認。
2. 推奨者の活用
レビュー依頼、UGC募集、紹介インセンティブ(クーポン/寄付型特典)。“推奨の瞬間”に1クリックで投稿できる導線を。
3. 体験改善バックログ化
自由回答をテーマ×インパクトで自動分類。プロダクト/CS/物流など担当別の改善チケットを生成し、進捗を見える化。
4. 優先順位付け
RICE/ICEで“影響×自信度×工数”をスコアリング。短期で効く修繕と中長期の差別化投資を両立。
5. 予測×パーソナライズ
NPS・利用状況・契約プランから離反/アップセル確率を推定。セグメントごとに頻度・オファー・チャネルを自動最適化。
よくある落とし穴と対策
- NPS絶対視:CSAT/NRS/解約率/紹介件数と合わせて読む
- 単発で終了:四半期の定点観測と改善サイクルを仕組み化
- 母集団の偏り:活性ユーザー偏重を回避し、無回答層のプロフィールも監視
- 現場が動かない:部門別KPIに落とし込み、改善で表彰・予算連動を
90日で回す実装ロードマップ
0–2週:設計
- 調査票・招待文・同意文言、データスキーマ定義
- MA/CRM/CDP連携、同意ログと権限設定
3–6週:パイロット
- 取引後NPSを実施、生成AIで自由回答を要約・分類
- 批判者フォローの自動チケット化を試験運用
7–10週:改善と自動化
- 推奨者アクション(レビュー/紹介)を自動配信
- RICEで改善バックログを優先度付け→1スプリント実装
11–13週:経営レポート
- セグメント別NPS・解約率・紹介件数の相関を可視化
- 次四半期のOKRに「NPS+実ビジネスKPI」を連結
まとめ:NPSを“数字”から“成長OS”へ
- NPSは推奨行動のポテンシャルを測る。
- 生成AIで自由回答→洞察→施策を自動化すると、売上(LTV・紹介)直結の運用に進化。
- 絶対値よりトレンド・セグメント・アクションで評価し、四半期で回し続ける仕組みが勝敗を分けます。
Harmonic Society株式会社は、NPS設計/生成AI分析/MA運用/クローズドループ構築まで伴走し、ロイヤリティを利益へ変える“動くダッシュボード”を実装します。お気軽にご相談ください。