費用対効果とは、費用に対してどのくらいの利益(効果)を得られたのかを示す指標です。
コンテンツマーケティングを内製化する場合、自社の人材、お金、時間を投入してコンテンツを作成します。そのため、費用対効果の計算方法や考え方を身につけることが経営戦略の最適化につながるでしょう。
本記事では、コンテンツマーケティングにおける費用と効果の捉え方を解説した上で、費用対効果の計算方法と計算例についてまとめました。費用対効果を高める方法やコンテンツマーケティングを途中で挫折しないコツも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、コンテンツマーケティングの基本から身につけたい方は、こちらの記事からご覧ください。
関連記事:初心者にもわかりやすく!コンテンツマーケティングとは?成功のためのポイント解説
コンテンツマーケティングの費用対効果はわかりにくい?
コンテンツマーケティングは、見込み顧客に有益なコンテンツを配信して信頼関係を醸成し、最終的な売上につなげるマーケティング戦略です。コンテンツのテーマや配信方法を自社が自由に決められるため、商品・サービスの認知拡大や企業ブランディングにも活用できます。
しかし、どのくらい商品の認知が高まったのか、企業イメージが向上したのかといった効果は数値で表しにくく費用対効果がわかりにくいと感じる方も多いのです。
そもそも費用対効果を測定する目的は、企業にとって「最も効率的に利益を生み出す施策を見つけ出すこと」です。商材に対して効果的な戦略を見つけ出し、経営戦略を最適化させます。そのためコンテンツマーケティングの費用対効果を測定する場合も、費用と効果に正しい項目を設定する必要があります。正確な費用対効果を測定して、適切な施策を選択するのです。
コンテンツマーケティングの効果
費用対効果は、「費用対効果=利益(効果)÷費用」で表せますが、コンテンツマーケティングでは、販売戦略によって計算式が異なります。例えば、Web上で商品・サービスを直接購入してもらう場合の計算式は「売上=販売単価×個数」です。
顧客との取引期間が売上に直結するサブスクリプション型サービスの場合は「顧客のLTV×顧客数」で算出できます。
見込み顧客の新規獲得が目的ならば、問い合わせや資料請求の獲得がコンバージョンにあたるでしょう。「コンバージョン1件あたりの価値×獲得数」によって、コンテンツマーケティングの効果を測定できます。コンバージョンの価値の計算方法は後述します。
関連記事:LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法や売上を最大化するテクニック
コンテンツマーケティングの費用
コンテンツマーケティングの費用は、運営する企業や手法によって異なりますが、必ず発生します。一般的には、HTMLなどのWeb専門知識がない方でも簡単にWebサイトのコンテンツ作成・更新・運営ができるシステム(CMS)を活用することが多いでしょう。
[st-mybox title=”コンテンツマーケティングにCMSを活用する場合の費用内訳(例)” webicon=”st-svg-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- CMS利用料
- サーバー代
- ドメイン費用
- コンテンツ制作費用(社内人件費用を含む)
[/st-mybox]
外注を利用する場合は、社内人件費を節約できますが、代わりに委託費用が発生します。
サイト設計から取り組む場合は、サイトのデザイン費用や設計費用などがプラスで必要です。
コンテンツマーケティングには、Webサイト以外にもSNSの運用やホワイトペーパーの作成、プレスリリースの発行などさまざまな手法があります。どの手法を選択するかによって費用が異なります。
費用対効果の計算例
費用対効果を計算する際は、何を指標にするかによって計算式が異なります。ここでは3つのケースに沿って計算例を解説します。
売上を指標にする場合
売上を指標にする場合は、ROI(投資利益率)の算出方法を運用できます。
[st-mybox title=”ROIの計算式。” webicon=”st-svg-exclamation-circle” color=”#ef5350″ bordercolor=”#ef9a9a” bgcolor=”#ffebee” borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
ROI(%)= 利益(売上-原価)÷投資額×100
[/st-mybox]
ここでは、1件の成約によって100万円の売上が発生するA商材を例にしてみましょう。
[st-mybox title=”A商材の費用対効果を出すために必要なデータ(例)” webicon=”st-svg-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- A商材の売上=100万円
- コンテンツマーケティング費用①(CMS利用料、サーバー代などの運用費)=30万円
- コンテンツマーケティング費用②(コンテンツ作成代)=30万円
- コンテンツマーケティング費用③(人件費用など)=20万円
[/st-mybox]
利益は売上-費用で算出しますので、計算例では売上からコンテンツマーケティング費用を差し引きします。
(売上−マーケティング費用①−②−③=利益)
100−30−30−20=20万円
[st-mybox title=”ROIの計算式にあてはめたものがこちら。” webicon=”st-svg-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
ROI(%)=20÷80×100=25%
[/st-mybox]
A商材のROIは25%と算出できました。
ここで、A商材にSNSを運用したと仮定してみます。SNSの運用に人件費用などを含めて40万円かかったとしたらどうなるでしょうか。
[st-mybox title=”A商材をSNS運用した場合のデータ(例)” webicon=”st-svg-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- A商材の売上=100万円
- コンテンツマーケティング費用(SNSを運用する人件費用など)=40万円
[/st-mybox]
[st-mybox title=”A商材をSNS運用した場合の計算式(例)” webicon=”st-svg-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
ROI=(100−40)÷40×100=150%
[/st-mybox]
商材の売上が同額の場合、投資額によってROIは大きく変化します。ROIの数値が高いほど投資効果が高いと考えられます。A商材の例では、SNSの方が費用対効果が高いと判断できるわけです。
問い合わせや資料請求を指標にする場合
新規の見込み顧客を獲得したい場合に指標となるのが、問い合わせや資料請求の数です。まずは成約1件あたりの売上から逆算して、問い合わせや資料請求の「効果」を算出。続けてコンテンツマーケティングにかかった費用を加味することで費用対効果を算出できます。
[st-mybox title=”問い合わせを指標にする場合の計算” webicon=”st-svg-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 問い合わせ獲得の効果を金額に換算する=費用対効果の「効果」
- コンテンツマーケティングにかかった費用を出す=費用対効果の「費用」
- 効果から費用を差し引く
[/st-mybox]
以下に、計算例を記載します。
売上が50万円のB商材を、Webサイトを運用して販売したとしましょう。下記のデータを元に計算します。
[st-mybox title=”B商材の費用対効果を算出するのに必要なデータ” webicon=”st-svg-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- B商材の売上=50万円
- コンテンツマーケティング費用=30万円
- 見積もりから発注に至る確率=20%
- 資料請求から見積もりに至る確率=10%
[/st-mybox]
まずは見積もり1件の価値を算出しましょう。
(見積もり1件の価値=成約金額×見積もりから発注に至る確率)
計算式:50万円×0.2=10万円
見積もり1件の価値は10万円となりました。
続けて資料請求1件の価値を算出しましょう。
(資料請求1件の価値=見積もりの価値×資料請求から見積もりに至る確率)
計算式=10万円×0.1=1万円
見積もり1件の価値が1万円だとわかりました。
もしも見積もりを20件獲得できたなら、費用対効果はどうなるでしょうか。
20万円(1万円×20)-30万円=-10万円
投資した費用は30万円ですので、見積もり20件の獲得では赤字となってしまいます。
では、40件獲得できていたらどうでしょうか。
40万円(1万円×40)-30万円=10万円
見積もりを40件獲得できていたら黒字となります。
上記はあくまで一例です。企業の商材や選択する手法によって、別の項目を設定する必要があるでしょう。費用対効果を考えるポイントは、投資した費用に対して十分な利益が得られたかを確認してみてください。
SNSやPV(ページビュー)を指標にする場合
商品・サービスの認知拡大や企業ブランディングに設定に設定した場合、何を成果と定めるのかが問題となります。認知の獲得や企業ブランドのイメージ向上といった効果は、数値で測りにくいためです。
KGI(経営目標達成指標)やKPI(重要目標達成指標)を設定して、達成状況を判断していく方法がおすすめです。PV数やSNSのユーザー獲得数などの項目を、自社の商材や顧客の特徴に合わせて設定しましょう。
関連記事:KGI・KPIとは?違い・設定する意味・具体例を解説
コンテンツマーケティングの費用対効果を高める方法
コンテンツマーケティングの費用対効果を高めるためには、見込み顧客に有益なコンテンツを配信するのが成功の近道です。効果的な方法を3つ解説します。
運用目的を統一する
コンテンツマーケティングの目的を統一すると、誰に向けてどのようなコンテンツを作成するのかを部署間で共有できるようになります。ターゲットとなるペルソナとカスタマージャーニーマップの作成が可能になるため、見込み顧客に有益なコンテンツを効率的に作成できるはずです。ペルソナとカスタマージャーニーマップの作り方やメリットはこちらの記事を参考にしてみましょう。
関連記事:ペルソナの作り方を具体的に解説!メリットや注意点も紹介
関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方。メリットや注意点も合わせて解説
コンテンツを蓄積して評価を向上させる
自社のメディアにコンテンツを蓄積させて、見込み顧客と検索エンジンからの評価を高めましょう。両者から高評価されることで、自社のメディアが検索ページで上位表示されやすくなり、コンバージョンの増加につながります。
コンバージョンの増加は、費用対効果を高めます。
例えば、オウンドメディアにブログ記事を配信する場合は、毎週2本から3本以上の記事を投稿するのがおすすめです。更新間隔が空き過ぎると顧客離れがおきる可能性がありますので、一定のサイクルで投稿しましょう。
PDCAサイクルを回してコンテンツの質を高める
費用対効果を高めるためには、コンテンツの量だけでなく質も重要です。コンテンツが蓄積されてきたら、定期的にコンテンツを評価・改善して、より見込み顧客に有益な内容に仕上げていきましょう。
コンテンツによっては、古い情報を新しくしたり新たな情報を付け加えたりすることで、検索順位を大幅に高められる可能性があります。
コンテンツマーケティングを途中で挫折しないために
コンテンツマーケティングでかかった初期費用を回収して、継続的な成果を出していくために、注意したいポイントを解説します。
短期間で成果を出そうと焦らない
見込み顧客に有益なコンテンツを作成するには、どうしても人手や時間が必要になります。自社のメディアにコンテンツが充実するまでには一定の期間が必要なため、じっくりと腰を据えて取り組んでいきましょう。
短期間で成果を出そうと焦ると、誤った方法を選択してしまうかもしれません。例えば、コンテンツの質を無視して量産だけを目的に記事を大量発注する方法です。大量発注する場合、記事の品質管理がむずかしくなります。その結果、方向性や品質がバラバラのコンテンツが量産されてしまい、メディアの評価を高められないおそれがあるのです。
外注を上手に利用する
コンテンツマーケティングの運用が軌道に乗ると、初期費用を回収して継続的な利益を生み出してくれます。しかし、運用初期は費用対効果が一番悪い時期のため「このままで大丈夫だろうか……」と、先行きに不安を感じるかもしれません。
そこでおすすめしたい方法が、コンテンツ代行会社の活用です。自社に合った代行会社に依頼すれば、貴重なリソースを節約しながら十分な成果を見込めます。
自社の予算やリソースと相談して、部分的に外注するのも効果的です。携わったスタッフには、コンテンツマーケティングを運用した知見や経験も手に入るでしょう。外注を利用する場合は、複数の代行会社から見積もりをとって、費用対効果を高めてください。
関連記事:コンテンツマーケティングを外注するメリットとは?選定のコツも解説
コンテンツマーケティングの費用対効果を高めたいならHarmonic Societyにご相談を
コンテンツマーケティングの費用対効果を正しく計算するためには、運用目的を再確認して費用と効果を正しく設定しましょう。コンテンツマーケティングの計算式は、設定した指標によって異なりますので間違わないようにご注意ください。
しかし、予算やリソースなどが問題となり、コンテンツマーケティングの費用対効果を高めるのがむずかしい場合もあると思います。その場合はコンテンツ代行サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
Harmonic Society株式会社の伴走型サービス「Gengoka」は、200名以上への取材で培った傾聴力を生かしたヒアリングで、お客様の希望にあったコンテンツを作成いたします。Gengokaのディレクターは、BtoB商材を扱う大手外資系コンサルティング出身です。BtoB商材のコンバージョン達成を通して企業の利益拡大をサポートします。
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