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取材の成否は、文章力より前に「何を聞けたか」で決まります。そして聞けるかどうかは、当日の話術ではなく、質問の設計でほぼ決まります。準備した質問が「はい」「そうですね」で終わる形だと、どれだけ話し上手でも記事の素材は集まりません。
この記事では、取材のやり方 完全ガイドの中核である「質問づくりと聞き方」を、200名以上への取材で磨いてきた実践の形でお伝えします。
質問リストの作り方:3層で10個
質問はその場の思いつきではなく、事前にリスト化します。おすすめは次の3層構造で合計5〜10個です。
- ①ウォームアップ(2〜3問):相手が答えやすい事実の質問。「開業は何年ですか」「一日の流れを教えてください」——口慣らしと基本情報の確認を兼ねます
- ②本命(3〜4問):記事の核になる質問。「一番苦労した時期の話」「転機になった出来事」「このこだわりが生まれたきっかけ」——感想ではなくエピソード(出来事)を尋ねる形にするのがコツです
- ③未来と読者への一言(1〜2問):「これからの目標」「読者に伝えたいこと」——記事の結びに使える言葉が得られます
リストの並び順は「答えやすい→深い」の階段にします。初対面でいきなり core な質問をぶつけても、相手の心の準備ができていません。
オープンとクローズド、2種類の質問を使い分ける
- クローズド質問(はい/いいえ・一言で答えられる):「創業は1974年ですか?」——事実確認に使う。数字・固有名詞の確認はこちら
- オープン質問(自由に語ってもらう):「創業のころは、どんな様子でしたか?」——エピソードを引き出すのはこちら
本命の質問は必ずオープン型で作ります。判定は簡単で、「はい」で会話が終わる質問はクローズドです。「人気ですか?」→「はい」。これを「どんなお客さんが、何を目当てに来ますか?」に変えるだけで、答えは物語になります。
当日の聞き方:話を引き出す4つの技術
1. 質問リストは「お守り」。会話の流れを優先する
リストを上から順に消化する取材は、尋問になります。相手の話が思わぬ方向に転がったら、それこそが記事のご馳走です。リストは「戻る場所」として手元に置き、会話の流れを追いかけてください。全問聞けなくても、いい話が1つ取れた取材は成功です。
2. 深掘りの魔法の言葉:「具体的には?」「たとえば?」
相手の答えが抽象的なときに使うのがこの2つです。「大変でしたね」→「具体的には、どんなことが一番大変でしたか?」。もうひとつ強力なのがオウム返し。「一時は閉店も考えて……」「閉店も、考えられたんですね」と繰り返すだけで、相手は自然と続きを話してくれます。
3. 沈黙を怖がらない
質問のあとに相手が黙ったら、それは考えている時間です。慌てて次の質問で埋めると、出かかっていた本音が引っ込みます。3〜5秒の沈黙は、いい答えの前触れと覚えておいてください。
4. 分からないことは、その場で聞く
専門用語や業界の言葉が出たら、「それはどういう意味ですか?」と遠慮なく確認します。知ったかぶりは後で記事を書くときに必ず行き詰まります。あなたが分からなかったことは、読者も分かりません。あなたの質問が、そのまま読者への説明になるのです。
やってはいけない3つの聞き方
- 誘導質問:「やっぱり◯◯が理由ですよね?」——相手は同調しやすく、事実が歪みます。「理由は何でしたか?」と開いて聞く
- 二重質問:「きっかけと、今後の展望は?」——2つ同時に聞くと片方しか答えが返りません。1問ずつ
- 自分が話しすぎる:取材の主役は相手です。相槌と質問で話量は2:8を目安に
なお、商品開発などのための「ユーザーインタビュー」は、記事取材とは目的も設計もやや異なります。そちらはユーザーインタビューの方法を参照してください。
まとめ:いい質問は、事前の設計から生まれる
取材の質問は、①3層×10個でリスト化し、②本命はオープン型のエピソード質問にし、③当日は流れを優先して「具体的には?」で深掘りする——これだけで、聞ける話の質が変わります。聞いた話をどう記録するかは取材メモと録音のやり方へ続きます。
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