顧客の購買プロセスは、IT技術の革新に伴い、大きな変化を遂げています。従来は、企業の営業スタッフが、お客様のところへ直接出向いたり、電話をかけることが一般的でした。しかし、インターネットの登場で、お客様自身が商品・サービスについて調べられるようになり、営業を介さない購買が主流となりました。
そこで、新たな方法として注目されているのが、コンテンツマーケティングです。お客様が欲しいものを探している段階から関わることができ、見込み客(リード)を獲得する手法の1つとして活用されています。
本記事では、SaaS業界に対する具体的なコンテンツマーケティングの事例を交えながら、概要や効果について紹介していきます。
- 「リソースがなく、知見不足で、信頼できる担当者もいない」と悩む経営者
- 体系的な戦略や環境、コミュニケーションに不満があるマネージャー
- 詳しい管理者がおらず、リード獲得に奔走するマーケ担当者
このような読者に向けた内容を記しています。是非、ご覧ください。
SaaS業界におけるコンテンツマーケティングとは?
SaaS(Software as a Service)とは、インターネット上でシステム・アプリケーションソフトウェアを提供するサービスの総称として使われる言葉です。成長著しい分野として注目を集めています。「サース」または「サーズ」と読みます。
ソフトウェアのインストールが不要で、アカウント登録とネット環境があれば、いつでも利用することができます。
SaaSの代表的な例として、一般利用者にも広く浸透しているGmailやビジネスチャットツールのChatwork、無料で表計算やグラフ作成ができるGoogleスプレッドシート、オンラインストレージのDropbox等が挙げられます。
伸びしろのあるSaaS業界ですが、市場の急拡大に伴い、同業界に対するコンテンツマーケティングの需要も高まっているのです。まずは具体的な数値を交え、SaaS業界とコンテンツマーケティングを説明します。
成長市場であるSaaS業界
日本国内のSaaS市場は、急速に成長しています。BtoBのSaaSに特に力を注いできたDNX Venturesは、日本や米国を含む160社以上のスタートアップに投資を行ってきました。新たなファンドを設立後、アーリーステージのスタートアップに投資することで、日本国内での投資活動を加速させています。
2022年度における同業界の市場規模(見込み)は、富士キメラ総研が1兆891億円と報告しており、2026年には1兆6,681億円と、2021年度比で約1.8倍に達すると推測されています。
なお、国内の年平均成長率(CAGR)は12.5%と見積もられています。このように、SaaS業界は成長産業として認識されているのです。
コンテンツマーケティングにおける投資収益率
2017年におけるCobloom社の調査では、SaaSの世界トップ250社のうち、89%がブログを活用したコンテンツマーケティングを行っていることが明らかになりました。
さらに、昔ながらの訪問・電話といった手法と比較して、コスト面が62%低いことも判明しました。トラフィックにおいても7.8倍となっており、ROI(投資収益率)が高い事実も示されています。
これは、SaaS業界が躍進する理由の一つと言えます。
SaaS製品の意思決定プロセス
BtoBタイプのSaaS製品においては、BtoCタイプに比べて導入までの決定プロセスが長くなることがあります。これは、予算やセキュリティの面において、慎重に検討する必要があるためです。
顧客は、インターネットを活用して製品の情報収集を行うことが一般的です。
具体的には、57%のBtoB顧客が、事前のリサーチを行った上で、サプライヤーに会う前に製品を選定しています。
自社のコンテンツを通じて、顧客が求める情報を提供することで、自社製品のメリットを認知してもらうだけでなく、顧客との信頼関係を築くことが可能なのです。
具体的コンテンツマーケティングの成功事例
企業様によって、解決したい悩みは異なります。
ここでは複数の事例を記すことで、マーケティングに頭を悩ませる皆様の指針に、ご活用いただければと思います。
成功事例1:OKデザイン株式会社
はじめに、Webマーケ全般に悩みを抱える「OKデザイン株式会社」を、「リードナイン株式会社」が支援した事例について、ご紹介します。
〇概要と課題
関西を拠点にHP制作やブランディングを行うOKデザイン株式会社は、
「メンバーはいるが、 Webマーケ戦略が分からない」
「やることが整理されておらず、共通認識が不足 」
という悩みを抱えていました。
〇具体的に行ったこと
リードナイン株式会社は、同社の要検定義と目標数字を示すことで、正確な効果の把握を目指しました。
また、データの計測周りを整え、チャネルごとの予約率等を算出し、具体的なコスパを見える化しました。
〇結果
SEO対策の効果によりアクセス数が増加したことと、ホワイトペーパーからのお問い合わせ率が向上しました。
開始3ヶ月頃から、SEO対策により検索経由でも効果がみられました。
このように、Webマーケティング戦略に関する数値を整理して、 共通認識を醸成した成功事例です。
参考:https://leadnine.co.jp/interview/12619/
成功事例2:株式会社うるるBPO
リード獲得やマーケティング戦略に悩む「株式会社うるるBPO」に対し、「株式会社才流」がコンテンツマーケティングをサポートした事例について、ご紹介いたします。
〇概要と課題
株式会社うるるBPOは、その社名にもある通り、BPO事業(=業務プロセスを外部委託するアウトソーシング)を展開しています。
データ入力やスキャニングに加えて、システム開発受託、電子化総合アウトソーシング、メーリングサービス等の総合型アウトソーシングも行っています。
2014年に創業し、徳島センターを含めた従業員数は90名です(2022年4月末時点)。
同社には、新規事業を開始したものの、リードを思うように獲得できない課題がありました。また、ターゲットが明確でなく、アプローチ先を見失ってしまったことも大きな問題でした。
〇具体的に行った内容
新規事業を始める際には、リード情報の蓄積がなく、インサイトセールスから得られる情報も限られているため、事業の分析に十分な材料が得られないことがあります。
そこで、どのようにして導入を決定し、製品が売り出せるのかという最適なアプローチを考える必要があります。
株式会社才流は、過去にサービスを導入、又は提供したことのある人にヒアリングを行い、最適なアプローチを探りました。
また、営業の現場に出向いて反応を共有し、競合の顧客傾向を分析することで、訴求内容を定め、サイト改善を行いました。
〇結果
株式会社うるるBPOは、リードタイムが4倍程度長いことが判明し、改善を行いました。
その結果、
- 6ヶ月目以降で打ち手の精度があがってきた
- 顧客解像度が向上した
- マーケティング施策の価値を実感できた
等の効果が得られました。
「リード獲得に、必ず効果を出したい」と願う企業様に、参考となる事例です。
参考:https://sairu.co.jp/case/4505/
成功事例3:AA Health Dynamics株式会社
最後に、当社と関連するマーケティングの事例についてご紹介いたします。
Webマーケティングのリソースに乏しい上、一定量の知見もなく、誰かに頼ることも難しい問題を抱える経営者に、具体的サービス内容から参考となる情報を記します。
〇概要と課題
アフリカにおいて、ヘルスケアKOLマーケティングを専門とするAA Health Dynamics社は、ケニア内で3,000人以上の医療関係者と、強い信頼関係を築いています。
同社のビジネスイメージは、誰もが新興国に挑戦できる環境を作り、新興国に挑戦する全ての人にDynamicsを提供することです。試行錯誤を繰り返し、社会のマイナス面へ常に立ち向かい、変化し続けることを大切にしています。
その中でも「Medisight」サービスは、スポットインタビューができるサービスとして高い需要を誇っており、信頼性に基づく高いコストパフォーマンスと、タイムリーなサービスを提供し、他社に対して優位に立っています。
しかし同社は、Webマーケティングに費用と時間を割く余裕がなく、ホームページ上での集客に課題を抱えていました。
〇具体的に行った内容
AA Health Dynamics社は、自社サービスの価値を十分にアピールできていないという問題に直面していました。そのため、Zoomによる数回のミーティングを通じて、Web上での集客に必要な施策を、中長期的に選定することとしました。
具体的には、以下の取り組みを実施しています。
- Webマーケティングに関するコンサルティング
- Webサイトの文言の修正
- クラウドファンディングの企画・実施
- 経営者及び導入事例についてのインタビュー記事制作
- プレスリリースの制作
- コンテンツSEOのディレクション
これらの対策によって、同社は自社サービスの価値を広くアピールし、新たな顧客獲得に向けた成果を上げることを目指しています。
このように、Webマーケティングに対する壁打ちをしながら、事業成長も議論することで、課題解決を効果的にサポートいたします。
〇結果
AA Health Dynamics代表の原様が、経営者インタビュー、導入事例インタビューを行う中で、「自分の会社に対する強みを再認識した」と仰られました。
数量的な成果こそ出ていないものの、同社は近日中にクラウドファンディングを公開し、達成目標として750万円の調達を目指しています。
また当社に、SEOコンテンツの制作を委託したいとの要望があるとのことです。
当事例のように、20人以下の少数精鋭で事業を行う取締役、事業責任者といった経営層にとって、密なコミュニケーションをとり臨機応変に支援してくれる組織は、何より代えがたいリソースとなります。
このようなお悩みを抱えていらっしゃるなら、どうぞお気軽にご連絡下さいませ。
参考:https://www.aa-healthdynamics.com/
コンテンツマーケティングの成功へのポイント
適切に組織を編成し、中長期的な施策を展開するには、役割別に担当者を任命することが必要です。
その上で、BtoB企業が行う場合には、以下の3つの点を抑えて、適切なターゲットユーザーを確定させることが重要と言えます。
- ユーザーのミッションを理解し、考慮する必要
- 業種及び企業規模の特定
- 購買プロセスを把握すること
そして、ゴールまでの道のりをしっかり定めることも大切です。効果的な情報提供で読者の検討を加速させ、実際にお問い合わせ頂くところまで見据えなければなりません。
当然、コンテンツマーケティングそのものにはメリット・デメリットが存在します。頼れるパートナーを、具体的事例から探し出すことが肝要です。
(メリット・デメリットはこちら)
SaaS業界で躍進したいならコンテンツ・マーケティングを強化しよう
今回は、コンテンツマーケティングの具体的事例を紹介いたしました。
SaaS業界は、その成長性から目まぐるしい変化を伴います。
Webマーケティングに対し、
- 経験不足や専門知識の欠如、信頼できる人員の確保に苦慮する経営者
- 包括的な戦略や周辺環境、有意義なコミュニケーションの欠如に不満を抱くマネージャー
- 適切な管理職員の不在により、リード獲得に向けて懸命に努めるマーケティング担当者
このような方々に向けた実例をご紹介いたしました。
コメント